赤木さんとの間にちょっと距離ができた。何やらに怒りをぶつけているのもそうだが、口から唾液が流れているように見えたのはかなり生理的にしんどいものがあった。清潔感がないとかトイレの後で手を洗わないようだとかはまだしも、唾液はつらい。手伝っていてもどうにもそこが気になるのだった。 しかし時間が過ぎるとともに考えてみれば、赤木さんは前歯がないのだ。それ故か言葉がかなり不鮮明だし、怒りに任せて何やらを叫ぶなら唾液くらいは出るかも知れない。いや元々何らかの障害があるのかも知れない。その辺のデリケートな部分をあれこれと訊くわけにはいかないが、であれば赤木さんは赤木さんなりに懸命に生きているとも言えるのではな…