訓読 >>> 霍公鳥(ほととぎす)無かる国にも行きてしかその鳴く声を聞けば苦しも 要旨 >>> ホトトギスのいない所があるなら行きたいものだ。その鳴き声を聞くと辛い。 鑑賞 >>> 弓削皇子(ゆげのみこ)の歌。「無かる」は、形容詞「無し」の連体形。「国」は、所、土地という狭い範囲の意で用いられています。「行きてしか」の「てしか」は、行為的願望の終助詞。行きたい、行ってしまいたい。ホトトギスは、その哀調を帯びた鳴き声が愛され、『万葉集』には、ホトトギスを詠んだ歌が153首もあります。ここは、中国の蜀の望帝が山中に隠棲し、その霊魂がホトトギスになったという故事を思い起こしているのかもしれません。病…