大国・元の脅しに対して、徹底して無視を決め込んだ鎌倉幕府。しかし幕府も、必ずしも無策でいたわけではない。この時点で幕府がとった対策は「そうだ!寺社に祈祷してもらおう」というものであった・・・これを読んで、思わず脱力してしまった人もいるかと思うが、当時の人たちは大真面目だった。それだけ祈祷には力がある、と信じられていたのだ。 取り急ぎ幕府は「異国降伏」の祈祷を、建長寺・寿福寺(臨済宗)、極楽寺・多宝寺(律宗)、大仏殿・長楽寺(念仏宗系)、浄光明寺(四宗兼学だが、メインは律宗)の有力寺院らに依頼したのだが、これがまた日蓮にとっては耐え難いことであったのだ。 日蓮にしてみれば、この世にはびこる「邪宗…