小売店を営む、もうすぐ70歳を迎えるお客さまが、「そろそろ着地を考えている」と言われました。また一つ、寂しくなるなあと感じた春の一日です。 何でも値上げのこのご時世。新作の商品をつくるよりも、リメイクのほうが楽しい――そうおっしゃっていました。 「亡くなったご主人の残したカフスを、リングやペンダントにリメイクしてお渡しする。当然、ご料金はいただくけど、ものすごく感激されて『ありがとう』と言われる。こんな感動を与える仕事、なかなか無いで」 その言葉を聞いて、ふと思い出しました。 新卒で入社した真珠会社で、初めてネックレスを作ったときのこと。教育係の先輩が、こう言いました。 「この連を、どこかの女…