【核戦略】 核兵器は人類に恐るべき破壊力をもたらしたが、その破壊力がもたらす悲劇性は広島や長崎への原爆投下からも非常によく知られている。核兵器というものが通常の兵器とは異なった論理で運用されるという「核戦略」の考えは、特にアメリカとソ連が大量の核兵器を保有した冷戦期に、アメリカを中心として大きな発展を遂げることになる。 第二次世界大戦での原爆投下からほどなくして、アメリカのブロディは『絶対兵器』の中で、戦争の勝利ではなく回避を重視する「抑止」の概念を唱え、核兵器を通常兵器と同様に用いることについて早くから警告を発していた。 また、キッシンジャーは『核兵器と外交政策』で、戦闘地域や戦争手段を制限…