晴れぬ夜の 月待つ里を思ひやれ 同じ心に ながめせずとも (源氏への返歌に悩む末摘花の姫君のために) 乳母子の侍従の君が代作した歌🌷 〜晴れない夜に月が出るのを待っている私のことを思い遣ってください。 あなたが同じ心で物思いに沈まないまでも 【第6帖 末摘花】 雨が降っていた。 こんな夜にちょっとでも行ってみようというほどにも 源氏の心を惹《ひ》くものは昨夜の新婦に見いだせなかった。 あちらでは時刻を計って待っていたが源氏は来ない。 命婦《みょうぶ》も女王をいたましく思っていた。 女王自身はただ恥ずかしく思っているだけで、 今朝来るべきはずの手紙が夜になってまで来ないことが 何の苦労にもならな…