10代で出会って以来、「方丈記」とは長い付き合いになりました。 ずっと、鴨長明先輩の背中を見て、知らずに随分と影響を受けてきた気がします。 建築、特に住宅の設計を始めてからは、後半の方丈の庵について記された部分を繰り返し読みました。建築家の書いたよくわからない本よりも、私にとっての住宅設計のバイブルは「方丈記」。それは、人と家について考えるよすがであり、「小さな家」に向かうベクトルは、長明先輩が道標となったものでした。 ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と栖と、又かくのごとし。 格調高…