Franco-Prussian War 1870年〜1871年。ドイツ統一を目論むプロイセンと第二帝制下のフランスの戦争。 オットー・フォン・ビスマルクの政略とヘルムート・カール・ベルンハルト・フォン・モルトケの戦略ががっちり噛み合い、ナポレオン3世 自らも捕虜となるというフランスの完敗に終わる。結果、プロイセン王がドイツ帝国皇帝を兼ねる形で、ドイツの統一がなされた。
旅の楽しみとはなんだ? 見たこともないものを目の当たりにし、味わったことのないものを舌の上に乗せること、どれほど雄渾な想像力を以ってしてでも追っつかぬ、「リアル」に圧倒されること、総じて未知に触れること。世界観を拡張される快さ――とどのつまりは福澤諭吉が言ったところの、「天然に於て奇異を好む人の性(サガ)」を満足させるこそに在る。 この「天性」を解説するため福澤は、実例を多く添付した。 「山国の人は海を見て悦び、海辺の人は山を見て楽む。生来其耳目に慣れずして奇異なればなり。而して其これを悦び之を楽むの情は、其慣れざるの甚しきに従て益々切にして、往々判断の明識を失ふ者多し。フランスの南部は葡萄の…
ケールの教会 ドイツの国境の街ケールのプロテスタント教会です。以前に紹介した母なるキンツィヒの記念碑と同じくマルクト広場に建てられています。名称はドイツ語なのでよくわからないのですが、Googleマップを見ると福音教会や平和教会という訳になっていました。ケールの街は1683年にストラスブールの橋頭堡として、かのヴォーバンの手により要塞化されたそうですが、この教会は要塞の土台の上に建てられているそうです。1847年9月24日に礎石が据えられ、1851年7月27日に奉献されました。その後三度の戦争、とすると普仏戦争、第一次、第二次世界大戦でしょうか、を経験しますが、比較的に無傷だったようです。激戦…
戦争の惨禍を蒙るのは、なにも人間ばかりではない。 物言わぬ動物も同様である。 以前私は、ハーゲンベック動物園の悲劇に触れた。欧州大戦末期に於いて、飢餓に苦しむハンブルクの住民は、かつてあれほど秋波を送った堀の向こうの動物たちを、もはや可憐な隣人と看做す余裕を失くした、と。 (Wikipediaより、1890~1900年ごろのハンブルク) 彼らにとってその四つ脚は単なる脂肪とタンパク質の塊であり、ほんのいっときとはいえど、餓鬼の境遇から自己(おのれ)を救済してくれる貴重な資源に他ならなかった。 資源ならば資源らしく、然るべき処置が執り行われて――やがて戦火が熄んだ際には、たった三匹の猿を除いて園…
こちらは「読書メーター」の月間まとめページです。 読書後の感想をはじめ、得た学び・気づき、「ぜひ実践したい」と思った事柄を記載しています。(一部のジャンルを除く) 「1冊の本から『実践したいこと』を一つでも見つけたらもうけもの!」自己成長のためのアウトプットにつなげていくよう、能動的な読書を続けていきたいと考えています。 (2023.9.21更新) 2023年9月の読書メーター(途中まで)読んだ本の数:22 冊読んだページ数:5103 ページ
京都アニメーションの最高傑作と言われる『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を見た.これを見るにNetflixに入ったと言ってもいいくらいである(さいきん話題になっている実写版One Pieceとかも見てしまったが,それはまた別の話). 京アニの作品,『けいおん』とか『響けユーフォニアム』は生理的に受け付けなくて1話の途中で切ってしまったが,今回はちゃんと最後まで見られた.外伝や劇場版は正直いまいちだったけど,テレビ版(のとくに前半)は最高傑作という評価も納得だと思った.後半になるとヴァイオレットが有能すぎて少し白けてしまったが,前半は空気の読めない振舞いの一つ一つが心に刺さった.「裏腹です」の…
フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ(1844~1900年)は、プロイセン領ザクセンの田舎町レッケンで生まれ、ライプツィヒ大学卒業後、24歳の若さで、スイス・バーゼル大学の文献学教授となりました。 青年期のニーチェが強い影響を受けた代表的人物は、作曲家ワーグナーと厭世主義の哲学者ショーペンハウアーです。 この記事では、ワーグナーとショーペンハウアーを批判的に克服して、自由思想家として自立するまでの青年ニーチェの生涯をご紹介致します。 なお、ワーグナーとの決別後の生涯については、こちらをご覧ください。 (1)田舎町レッケンに生まれる (2)ライプツィヒ大学 (3)バーゼル大学教授 ①スイスでの交…
フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ(1844~1900年)はプロイセン領ザクセンの田舎町レッケンで生まれました。 ニーチェはライプツィヒ大学卒業後、24歳の若さでスイス・バーゼル大学の文献学教授となり、スイスで作曲家ワーグナー(1813~83年)と親交を持ちました。 その後、ワーグナーに大衆迎合的な態度を見たニーチェは思想家として自立し、『ツァラトゥストラ』(1883~85年)で、「運命愛」、「永劫回帰」など、ニーチェ哲学の根本思想を示しました。 この記事は、19世紀後半を生きたニーチェを意識しながら、当時のヨーロッパ(あるいはドイツ)を理解することを目的としています。 以下、ニヒリズム到来…
230904 Mystère à Paris (これは勝手につけた原題)つまり、これは全部で7話からなるシリーズで、2011-2018に主にフランス国内で放映されたテレビドラマということです。 1話(概ね1時間半)ずつタイトルが付けられています。時代は19世紀末、舞台はパリ。もうこれだけでわくわくしませんか? 第1話から順に、ムーラン・ルージュ、エッフェル塔、オペラ座、ルーブル博物館、エリゼー宮(大統領官邸)、ヴァンドーム広場(ホテル・リッツ)、パリ大学ソルボンヌ校、とまあ、よくこれだけパリ市内の著名なスポットを選んだものと感心します。 ↑はMystère au Moulin Rouge。ここ…
ナショナリズム論を考える中で、19世紀における重要な文献ってなんだろうと考えたとき、フィヒテ『ドイツ国民に告ぐ』とルナン『国民とは何か』がなんとなく思い浮かびます、というか、ナショナリズムに関心がある方の多くが当然のこととして思い浮かぶことかと思います。 フィヒテにおいては、ナポレオンの進軍によりプロイセンは領土の多くを奪われた中で、国家を再興するためには何が必要なのかを教壇から訴えたものであったのに対し(と言いながら、私は未読です)、ルナンにおいては普仏戦争でのフランスの敗北、政権の崩壊、アルザス・ロレーヌの割譲といったことを背景に、「国民」とはいったい何なのかを、一般的に解釈されてきたこと…
戦争とデータ―死者はいかに数値となったか (中公選書) 作者:五十嵐元道 中央公論新社 Amazon 本書は、多種多様な国際政治上のデータのなかでも、戦争のデータについて考える。 戦争は、国際政治上の現象のなかでも最悪のもののひとつだ。それゆえ、戦争全体を把握するために、データの収集がどうしても必要になる。では、戦争のデータは、どこまで実際の現象を反映しているのか。つまり、世界のどこかで誰かが戦火に苦しむなか、そのデータは誰かが体験している戦争をどこまで正確に表象しているのか。そもそも、その戦争のデータは、誰がどのような目的で、どのような方法でつくっているのか。戦争のなかでも、データに変換され…
シミルボン投稿日 2022.06.04 世界推理短編傑作集6 (創元推理文庫 M ン 1-6) 東京創元社 Amazon 今回取り上げるのは、このアンソロジーの最初の作品、エミール・ガボリオ作『バティニョールの老人』(初出Le Petit Journal 1870-7-7〜7-19) 何故か本作は初出時にガボリオ作として発表されていない。本書にも再録されている前説の通りゴドゥイユという謎の男の持ち込み原稿で実録、という設定で新聞に掲載された(プチ・ジュルナルには毎号新聞小説が連載されていたのだが、本作は実録として記事ページに連載されている。本作連載時にも別の小説が小説欄に掲載されていた)。 本…
はじめに 私立大学の世界史は空欄補充(客観式または記述式)、下線部に関する短答問題・正誤判定問題が中心です。首都圏の大規模私立大学は採点の余裕があるのか、最後の問題が100字~300字程度の論述の学部もあります。 その中で小論述が山ほど出るのが慶應義塾大学の経済学部です。日本史との相互乗り入れ問題もあり、二次で地歴2科目必須の東京大学の併願者を狙っているようにも思えます。国立小論述、私立戦後経済史のトレーニングを狙って解説します。 解答例は解答欄の大きさが1行=17cmなので約40字と換算しました。行数は「赤本」の記載に従いました。 問題 要会員登録 東進の解答速報は結構字数フリー www.t…
シミルボン投稿日 2020.08.03 紋切型辞典 (岩波文庫) 作者:フローベール,小倉 孝誠 岩波書店 Amazon 1880年、作者の死により未完。なんだか中途半端な約千項目。ざっくり言うと「あらゆることを攻撃しつつ、うわべは礼儀をわきまえた感じの文句を集めた辞典」例として作者は構想中の1852年に恋人への手紙で以下を挙げていた。(以下の引用は語句整理あり) 芸術家: 言うことはすべからくあざ笑うべし。みんな冗談好き。無視無欲な態度を褒めよ。皆と同じ服装なのは驚き。女性芸術家はすべからくふしだら。法外な金を湯水のように使っちゃう。やってることは「労働」じゃない。町のレストランでしばしば夕…
○○条約の一覧。
朝:8年続けているヨガでカラダとココロを整える。 夕:ある週刊誌から電話取材を受ける。人物記念館がテーマ。記録と記憶をたよりに、うまく答えられたと思う。 昼:遊びにきている娘と孫たちと過ごす。近所の公園の自然館。鉄道模型運転のジオラマ。ハヤブサ、ドクターイエローなど。運転も楽しめる趣向。 牧野富太郎の『牧野植物大図鑑』の植物絵を拡大し、着色した『原色牧野植物大図鑑』を手にすることができた。これも一大事業だ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「名言との対話」8月5日。エンゲルス「マルクスの生きているあいだ、私は第二バイオリンをひいていたのである」 フリードリヒ・エンゲルス(ドイツ語: Fr…
レマルク(1939年) エーリヒ・マリーア・レマルク(1898-1970)の小説『西部戦線異状なし』は1928年に新聞に連載され、翌29年に単行本として出版された。右翼からはドイツの前線兵士たちの思い出を汚すものであるという批判、左翼からは戦争の原因が追究されていない、平和への志向が欠如しているといった批判などがなされたようであるが、1930年の6月にはミリオンセラーとなった。小説冒頭の「この本は訴えでもなければ告白といったものでもない。戦争によってだいなしにされた、たとえ彼らが榴弾を免れた場合でも、だいなしにされた一世代について報告する試みにすぎない」という著者の控え目な前書きはそのまま受け…
狼記事見たけど、スルーしていたな。 結局、21年は約4000頭の家畜がオオカミの犠牲になった。 興味深いのは、数頭の非常に賢いリーダー格の狼が、問題児ならぬ「問題オオカミ」と呼ばれ、すでに特定されていること。問題オオカミに引き連れられた群れは、森でシカや野ウサギを追いかけているオオカミを尻目に、家畜の襲撃に特化して成功を収めている。 >>調査員が優秀なので、狼研究が進んでいるけど、被害者の農家や家畜のことはどうでもいい感じだな。ドイツはほんと先祖帰りしているね。 エコシステムイデオロギーにFuckされているようだ。 そら、解決策はベジタリアンになることって、、、他者に強制することでマウントを取…
第三章 ロマン派というブラックホール1.ロマン派とは何か 岡田:ロマン派はクラシック・レパートリーの本丸。 片山:小難しい古典主義ではなく、階級を問わず広く受け入れられる新しい価値が「ロマン」。 岡田:ロマン派の時代は、1800年初頭からのほぼ100年と長い。しかしこの100年で世界は大きく変わった。馬車から汽車へ。深い森の闇への恐怖も失せていく。 古典派とロマン派では何かが根本的に違う。ベートーベンにはあった「終了感」がロマン派では失われる。ベートーベンが持っていた「社会へのメッセージ」から「個人のファンタジー」へと転換する。 片山:トルコの軍楽隊はヨーロッパのオーケストラの金管楽器や打楽器…