映すためシリーズの続編です。 映すためシリーズの1で、紫式部の物の見方の特徴として複眼的多面的であることを挙げましたが、それをもう一例。 『賢木』巻巻末近く、朧月夜の君と源氏の密会の場に入って来た右大臣の様子を左大臣と引き比べて源氏が苦笑する場面です。 「大将はものの紛れにも、左大臣の御ありさま、ふと思しくらべられて、たとしへなうぞほほ笑まれたまふ。げに入りはててものたまへかしな」 (大将は、こうした取り込みの中にありながらも、ふと左大臣のご様子とお思い比べになって、まるで比較しようもないな、と苦笑せずにはいらっしゃれない。いかにも、部屋の中にすっかりお入りになってからでも仰せになればよかろう…