如月に紫宸殿で催された桜花の宴で、 光源氏は頭中将らと共に漢詩を作り舞を披露した。 宴の後、朧月夜に誘われふと入り込んだ弘徽殿で、 源氏は廊下から聞こえる歌に耳を澄ます。 照りもせず 曇りも果てぬ 春の夜の 朧月夜に似るものぞなき 源氏はその歌を詠んでいた若い姫君と出逢い契りを交わす。 素性も知らぬままに扇を取り交わして別れた姫君こそ、 春宮への入内が決まっている右大臣の六の君(朧月夜)だった。 一月後、 右大臣家の藤花の宴に招かれた源氏は装いを凝らして訪れた。 右大臣にかなり呑まされ、 酔いを醒ますためその場を離れた源氏。 偶然通りかかったところで、御簾のうちにいる六の君を発見。 歌を詠みか…