保阪正康という人がいます。昭和史を専門とする歴史家です。「実証的に研究する」ことを信条にしておられ、数多くの歴史の証言者に直接インタビューしている方です。この保阪正康が東条英機の遺族にインタビューしています。遺族の方が、次のようなことを語られたそうです。真珠湾攻撃の何日か前に、夜、物音がするので、東条の寝所をうかがったところ、東条が、皇居の方を向いて一人座り、泣いていたそうです。家人は、気づかれないように、そっとその場をはなれたということです。日米開戦を決めた、1941年12月1日の御前会議と、12月8日の真珠湾攻撃の間のどこかでの話です。これは、第一級の歴史的証言だと思います。「生きて虜囚(…