いけなみ・しょうたろう(1923-1990) 作家。小説家。 1923年(大正12年)1月25日、東京・浅草生まれ。下谷・西町小学校を卒業後、茅場町の株式仲買店に勤める。戦後、東京都の職員となり、下谷区役所等に勤務。長谷川伸の門下に入り、新国劇の脚本・演出を担当。1960年(昭和35)年、「錯乱」で直木賞受賞。テレビシリーズとなった作品も多い。美食家・映画評論家としても著名である。小説、エッセイ多数。1990年(平成2年)5月3日、急性白血病で急逝。
20代の頃は、池波正太郎なんて、一生読まないだろうと思っていたが、あれから月日が流れて、ついに買って読んでしまうことになるとは、自分の見通しの甘さに苦笑せざるを得ないのだが、酔っぱらった勢いで購入したと一縷の言い訳を残しておきたい。 どうやら晩年の頃の本のようで、編集者からの質問に答えて口述筆記したような内容で、食べ物やら女性のことやら話はとりとめがない。 食べ物に関する蘊蓄を語るのだけれど、どこかに逃げの言い訳がましい言葉が付け加えられている。 そばに関する蘊蓄も、鰻に関する蘊蓄も、すき焼きに関する蘊蓄も、「そうは言っても…」という、どこかの誰かに対する目くばせのようなものが、いささか蛇足の…
真田太平記 (八) 紀州九度山(新潮文庫) 作者:正太郎, 池波 新潮社 Amazon 武士(もののふ)の一生は束の間のことじゃ。 アラサーと思われて喜ぶお江。 真田昌幸、向井佐助に来国次の銘刀をあげる。 高野山のふもとの村、九度山へ。 信之と改め、徳川家臣としてこれからも生きていく。 5年の辛抱。どうかな。 九度山に一緒に行くのは16名の家臣。 信之(37)、鈴木右近(27)。 1603年、徳川家康(62)征夷大将軍に。 豊臣秀頼(11)、秀忠長女千姫(7)、結婚。いとこ同士。 額直しの祝い、女の子の元服みたいなの。お歯黒とまゆそりはまだしない。髪型だけ。 米子藩家老、横田内膳。はめられる。…
真田太平記(七)関ヶ原(新潮文庫) 作者:池波正太郎 新潮社 Amazon せっかくながら、柿は食えぬ。腹を病んでいるゆえ。 勇将島津義弘(66)を怒らせ、頼もしい宇喜田秀家に愛想をつかされた石田三成。なので毛利輝元に総大将をお願い。 あー、気になりすぎて本陣離れちゃったのね。 忍びの者が息を休めるときはこの世との別れのとき。 本多忠正、忠勝の長男。 上田城渡す渡さないの真田昌幸。結局渡すことにするけど、これも徳川秀忠軍を引き留める時間稼ぎ。 「角兵衛は昔から狂ってますよ。」ですね。 滝川三九郎、一益の孫。 鈴木右近、囲碁と昼寝の毎日。 小早川秀秋(19)、大谷吉継の病状が思ったよりひどくて西…
徳川軍の攻撃を凌ぎ切った豊臣方は、徳川家康と和議を結ぶ。 しかしそれは、徳川方の謀略の一段階に過ぎなかった。 豊臣方中枢部の動きに幻滅しながらも、真田幸村は自らの生き方を貫こうとする。 兄、真田信之との対面も、幸村の意志を変えることはできなかった。 大坂城の外堀を埋めきった徳川家康は、最後の仕上げにかかる。 大坂夏の陣が始まる。 真田幸村は、自らに従う兵達とともに奮戦し、一度は家康を敗走させる。 しかし、最後には兵力の差が幸村軍の勢いを止めてしまう。 味方の兵達とはぐれた幸村は、愛馬月影とともに、静かに田の中に倒れる。 幸村は、最後まで、自らの戦いを戦い切った。 真田太平記(十一)大坂夏の陣(…
真田太平記(六)家康東下(新潮文庫) 作者:池波正太郎 新潮社 Amazon 天下を治むる人びとは、その日暮らしであってはならぬ。 家康暗殺ばれる。それを逆手に諸大名を攻撃する家康。 鈴木右近、すっかり結婚願望がなくなる。 自分は結婚したくないのに、家来の赤沼瀬兵衛には再婚を進める右近。 慶長5年(1600年)。 前田利長の母芳春院、人質として江戸へ。 秀吉死後、いったん国許に帰ったら?と家康に言われて帰った上杉景勝が音信不通。 不安になって家康手紙送るけど景勝返事なし。 真田幸村34歳。 壺谷又五郎、向井佐平次の本当の。。 直江状、家康59歳、こんな無礼な手紙見たことない。 福島正則40歳、…
4519号 3月4日(月)夜 昨日は、ひな祭り。また、少し暖かくなった。 ひな祭りといえば、蛤(はまぐり)。 なぜであろうか。 蛤に限らず、貝類の旬は春、だから、ということかと思っていたが、人形の東玉によれば、蛤は二枚貝で貝殻は、他の貝殻とは合わない。 夫婦和合の象徴ということか。そういえば、昔、平安の頃か、貝合わせなんという遊びもあった。 ともあれ。 蛤というと池波先生であろう。お好きであった。「その手は桑名の焼き蛤」で有名な、伊勢湾桑名の蛤なども書かれているが、蛤の湯豆腐というのが 「食卓の情景」に登場する。 蛤のつゆで、酒を呑むという。つゆや汁で酒を呑むというのは、違和感があったが、試し…
こんにちは、暖淡堂です。 池波正太郎さんの「真田太平記(十)大坂入城」、面白いです。 真田幸村が、わずかな家臣たちとともに九度山を密かに抜け出して大坂城に入ります。 そこには豊臣方につく武将や浪人たちがたくさん集まっていますが、中心となるべき有力な大将がいません。 幸村は真田家の兵術の真価を世に問うべく、自らに従う兵達のみを率い、大坂城の南に出城「真田丸」を築き、迫りくる家康軍を待ちます。 やがて大坂冬の陣。 緒戦を智謀で勝ち抜く幸村の名は、天下に轟くことになります。 未読の方、オススメです、ぜひどうぞ。 (シリーズ全巻も) 真田太平記(十)大坂入城(新潮文庫) 作者:池波正太郎 新潮社 Am…
真田太平記(五)秀頼誕生(新潮文庫) 作者:池波正太郎 新潮社 Amazon わしの目から見ると、人よりも獣のほうが大分に悧口のようみおもえてならぬわ。 真田昌幸47歳、信幸28歳、幸村27歳。 釜山で苦戦する日本軍。日本で能の稽古する秀吉。 秀吉58歳、秀次26歳。 淀の方、25、6歳で懐妊。 大園遊会。秀吉の瓜売り。家康のアジカ*1売り。昌幸猿使い。 秀頼誕生。 昌幸51歳、信幸31歳、幸村30歳。 秀次、関白の千人斬り。 秀次28歳、謀反の疑いをかけられて高野山で自決。 秀次の正室一の台は山手殿の妹。 慶長元年の大地震。 謹慎解けてないけど、心配で秀吉のもとに駆けつけた加藤清正。熊本城主…
ランキング参加中ライフスタイル ランキング参加中健康 市や県、行政の広報でも文学散歩はよく見られ人気のようです。私自身、作家のゆかりの地を散策するのが好きです。鎌倉の隣りに住んでいますが、鎌倉文士というと、川端康成、芥川龍之介、大佛次郎、里見弴、小林秀雄、中原中也、久生十蘭、澁澤龍彦、、と錚々たる顔ぶれで、引っ越して来た当初は浄智寺の澁澤家の墓にも参りましたし、瑞泉寺の山崎方代の歌碑も見に行きました。夏目漱石の『こころ』で主人公と先生が出会うのも鎌倉の由比ヶ浜ですし、江戸川乱歩の名作長編『孤島の鬼』で海水浴客の中で探偵が殺されるシーンも由比ヶ浜海岸です。 私は文学以上にロックやパンク、ブルース…
4504号 2月13日(火)夜 さて、今日は[資生堂パーラー]銀座本店。 一年ぶり。 池波レシピ、で、ある。 10年以上前だが、NHK文化センターの「池波正太郎と下町歩き」で訪れてもいる。 この時、界隈のことを含めて細かく触れている。こちら↑もご参照されたい。 先生はエッセイでもなん回も書かれている。戦後ももちろん行かれているのだが、最初は戦前。先生が戦争へ行く前の10代の頃。 兜町の株や(証券会社)の小僧をしていて、株で儲け、まあ、それこそ吉原へも通い、遊び歩いていた頃。横浜までタクシーを飛ばし、かの[ホテルニューグランド]まで行ったり。浅草生まれ育ちの先生に銀座はやはり華の場所であった。今…
この長編でも平蔵に恨みを持つ者が火盗改への挑戦を行い、平蔵を窮地に追い詰めるのですが、ぎりぎりの探索を続けて事件解決を成し遂げる姿が描かれています。 最初は盗賊一味の捕縛の場面から始まります。 盗賊池尻の辰五郎の一味を押し込みの寸前に待ち伏せし全員を捕縛、辰五郎はその場で胸を刺して自殺します。 その事件がこの長編で描かれる盗賊と火盗改の死闘につながります。 同心細川峯太郎が賭博をした帰り、居酒屋で見かけたのはかつての浮気相手のお長にそっくりの年増女のお松でした。 その女と一夜遊んだ細川ですが、そのお松は実は盗賊猫間の重兵衛の娘でした。 そして死んだ池尻の辰五郎の姪でもありました。 盗賊仲間の情…
5月2日、僕は仕事で東京都千代田区にある「九段下」へ向かいました。 九段下は、靖国神社や日本武道館が近くにあることで有名です。地名の由来は、江戸時代に九層からなる段があったからだそうです。現在でも九段下駅出口から靖国神社や市ヶ谷駅方面には九段坂があり、緩やかな上り坂です。江戸時代の勾配は、現在よりも急だったみたいです。 visit-chiyoda.tokyo アポまで時間があったので、九段下駅から徒歩5分の場所に「北の丸公園」を散歩しました。仕事の前には、できるだけリラックスをしたかったからです。事前に準備はしっかりとします。だからこそ、寸前にジタバタしても仕方がありません。 visit-ch…
真田幸村でお馴染み上田市!ホントの名前は信繁! この日は太郎山の登山競争「上田バーティカル」に参戦。急すぎる激坂を永遠と登らされるワクワクと絶望のレースでした。美しい山々と小鳥のさえずりが素晴らしい。 そして本題。レース後は別所温泉へ! 訪問先は真田幸村の隠し湯「石湯」既に建物の趣がすごい。 料金は券売機制。入浴料250円。タオルやシャンプーの購入も可。ちなみに男湯はドライヤーなしなので気になる方は注意〇 お風呂 カランは5席。シャワーはなく、熱いお湯と水を組み合わせて調整する昔ながらのスタイル。 お湯はほのかに硫黄が香る少し熱めのお湯。運動でヘロヘロな身体にぐぅ~っと効く。 この別所温泉。真…
今回も本格的な大物盗賊との闘いというよりはサイドストーリーといった風情のものです。 「泣き男」火盗改同心細川峯太郎は「二度あることは」の事件で妻ある身ながら昔の女に未練を残していることを長谷川平蔵に見透かされ、またも探索方を外されて勘定方に戻されていました。 くさっていた細川は非番の日も家に居る気もせず内藤新宿の方角へぶらぶら出かけます。 通りがかりの浪人にぶつかって、思わず「バカ、気をつけろ」と怒鳴ったらあっという間に投げられて地面にたたきつけられました。 痛い腰をさすりながら歩いていると、その浪人が細川の知り合いと話しているところを見かけます。それが按摩の辰の市という男ですが、火盗改同心の…
八王子夢美術館「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」展。 川瀬巴水(1883-1957)という人物を理解するカギは、出会いと出来事、そして旅である。 絵の道に進むことができたのは、家業が傾いたことにより反対がなくなったことによる。その時、巴水はすでに25歳となっていた。入門を希望した鏑木清方は「絵かきになるには年をとり過ぎている」としたが、まず洋画を学ばせた。27歳で入門した鏑木門下の14歳年下の伊東深水の木版画に影響を受けて、若旦那の境遇を捨てて、木版画に挑戦すること決意する。 その後の2つほど年下の版元・渡邊庄三郎との出会いは大きい。二人は同志となって「新版画」を開拓していく。全国鉄道網の発達によっ…
・ ・ ・ 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。 ・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・ 江戸の町中は、子供が大声を出して走り回り、遊んで笑い声が絶えなかった。 ・ ・ ・ 庶民は、日々の生活の中で、仕事の合間で、家族や仲間同士での物見遊山を楽しんでいた。 「宵越しの金は持たぬ」と「金は天下の回りもの」、それが庶民の生活スタイルであった。 江戸時代は、富の再配分が絶えず行われ、貧富の格差は固定されず社会問題化する事は少なかった。 ・ ・ ・ キリスト教が説く「迷える子羊」やマルクス主義・共産主義が主張する「人民」は、江戸時代の日本にはいなかった。 ・ ・ ・ 徳川幕府は…
にっぽん縦断こころ旅 NHKBSで放送されている人気番組 俺も初期の頃から見ていて ブラタモリが終了した今 NHKでは一番好きな番組かもしれない スタートが平成23年 今年で13年目 毎年春の旅と秋の旅を放送 昭和のプレイボーイもすっかり自転車おじいちゃんに ちなみに正平の「正」は池波正太郎からもらった正である そんな彼も新しく始まる鬼平犯科帳の彦十に抜擢された 平蔵を若かりし頃から知る重要な役である 鬼平もおまさと彦十だけにはアレだな やんちゃしてたてっちゃんに戻る で、昭和のプレイボーイ 俺が子供の頃は常にワイドショーを賑わしてて なんだかよくわからないが 「悪い人なのかな?」と思ったり …
嗜むことについてすこし早い気がしないでもないんだけど、老後の嗜みを考えている。おさおさ怠りなきことかってことかしらん。まずは能動的な嗜みから。音楽が大好きなので、やっぱり楽器演奏だね。腱鞘炎を患って、おおむかしに演奏(練習?)していた楽器を鳴らすことは、もうできない。でも起き上がりこぼしの気持ちはなくなっていないので、ほかの楽器を練習したい。中学生の頃から弾き語りをしていたギター。基本から学びたいと思い、むかしクラシックギター教室に通っていた。クラシックギターもいいのだけど、いまはアコースティックギターでカントリー・ブルースを弾きたい。マンス・リプスカムみたいなのとか。ブルース・ウィズ・ア・フ…
こんにちは! 吉田菊子です。 ほぼ毎週木曜日の夜9:30から、20~30分、朗読をお届けする、zoom白菊朗読会。 前回、4月25日にご参加くださった皆さん、ありがとうございました! 今度は5月2日(木)です。 zoomミーティングに参加するには、 以下の「Launch Meeting - Zoom」と青い文字で書いてあるところをクリックしてください。 ミーティングIDやパスワードの指定をする必要はなく、直接、ご参加いただけます。 (青い文字の下にある【注意事項】も、必ずご確認ください。) Launch Meeting - Zoom ※ 過去の回の青い文字をクリックしても、ご参加できません。 …
またまたお久しぶりの更新です; GWいかがお過ごしでしょうか。 夫の休みは暦通りなので帰宅は後半。 新幹線もいっぱいだろうからムリしなくて良いよ、と伝えてみたよ。 「ヒマだし帰る」とのことです。 子供は二人とも帰省しません。 まー、多少寂しさもありますが、忙しく楽しく過ごしていることを知っているし ーと、こんな感じで すっかり独オバ暮らしにも慣れました^^ 夫が単身赴任してもうすぐ2年かな。 最初の頃は、 息子から「ひとりでも、ごはんちゃんと作って食べるように」言われていたし それまでの習慣もあって、わりときちんと料理していました。 今は・・・ まっっったく!!料理してない笑 掃除、洗濯はして…
終わりに近くなり、老いた剣客、盗賊の悲哀といったものが多くなってきたように感じます。 「おしま金三郎」かつて火盗改同心であった松波金三郎は情報入手のため女盗賊と情を通じたことが露見しお役御免となり追放され町人となりました。 一味はお縄となりましたが、その女おしまは見逃されました。 しかし松波はその女おしまと共に暮らすことなく、一人で居酒屋をやっています。 おしまが松波の店にやってきて、盗賊一味の片割れが松波と共に一味を逮捕した小柳安五郎に復讐しようとしていると告げます。それを聞いた平蔵は警護に当たります。 無事盗賊を討ち果たしますが、松波は江戸から姿を消します。 「二度あることは」同心細川峯太…
虎の城(下(智将咆哮編)) 長編歴史小説 (祥伝社文庫) [ 火坂雅志 ]価格: 1026 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 主君秀長の豊臣家が廃絶となり、藤堂高虎は城の明け渡しを担当した。城を受け取るのは五奉行の1人、増田長盛の家臣で、高虎と同郷の渡辺勘兵衛。奇しき縁を感じつつも牢人となった高虎は高野山に籠もるが、秀吉から直参の誘いが舞い込む。一旦は断るも、復讐のためには力をつけなくてはならないとして、南伊予7万石の大名に封じられる。但しその地は前任者が強引な治世で抵抗が激しく、「狂死」したと噂されていた。しかし高虎は地元の民と親交を深めるとともに、租税も軽減して領民を心服させた。 伊予を支…
延々と続くように思えたのですが、あと数冊となりました。 「霧の朝」深川万年町の桶屋の富蔵は本業は女房のおろくに任せっぱなしで御用聞きの政吉の手先となって働くことがほとんどです。 その子の幸太郎は貰い子だったのですが、かどわかされてしまいます。 平蔵も捜索に当たりますが行方がしれません。 その頃、乞食坊主だった井関録之助は今では寺に住み込み和尚の手助けなどをするようになっていたのですが、思い立って昔住んでいた品川の小屋を訪ねてみます。 するとそこには乞食の夫婦が暮らしていたのでした。 そしてその夫婦が幸太郎の生みの親だったのです。 その女房のおきねが物貰いに歩いていた時にちょうど幸太郎がある家に…
●映画評論家●映画史家●他 ●映画評論も手掛けた小説家 ●映画理論家●哲学者 ●評論家・批評家出身の映画監督 ●批評家としても活躍