赤熱白熱:小島春潮 1915年(大4)9月~1916年(大5)1月、「世界」連載。 1916年(大5)日吉堂本店刊。 大正期の少年向け海洋冒険小説。海軍中尉だった父親の死去により生活苦となった透少年は浦賀の造船所の工員として働く。しかし雇い主の娘の縁談に支障だとして彼は放逐される。その後、ドイツ人スパイ(独探)との嵐の海での死闘やら、女船長が率いる海賊船での転変などを経て、インドの独立運動の支援に身を投じる。物語の筋立ても展開もスムーズで、海外雄飛を謳った正義感、使命感が根底に流れていた。女船長の数奇な半生ももう一つの興味深い挿話になった。日清・日露の2つの戦争を経て、世界における日本人という…