Special Forces(米)
本来的には字義通り、特殊な軍事任務に従事するために編成・訓練された部隊を指す*1。同種の部隊はそれこそ旧約聖書の時代から用いられているが、今日的な起源については、第二次世界大戦中のイギリスで成立したコマンド(コマンド部隊)とされることが多い。これは、ドイツ占領下の欧州大陸への襲撃・破壊活動の実施や、ゲリラ戦の支援任務などのために編成された物である。
その後、任務の幅が拡大しており、一方では軍隊以外にも治安維持組織(警察等)にも対テロや武装犯対策を目的とした部隊が置かれるようになり、これも含めて「特殊部隊」と総称することが一般に行われている。
軍隊の特殊部隊
レンジャー部隊、コマンド部隊と呼ばれることもあるが、いずれも本来は特定の部隊を指す呼称であって、特殊部隊全体を指す名称ではない*2。
強いて一般化すれば、コマンドは襲撃・破壊工作などを担当する部隊を指す語として用いられ、レンジャーは潜入や長距離偵察、先遣隊を主な任務とする。
その他、他国の友好住民に対する軍事訓練の実施や、今日的にもっとも注目されるところの対テロ作戦行動なども特殊部隊が行う。
警察の特殊部隊
国際テロリズムの流行に伴い、従来の警察組織の手に余るような高度な能力を要求される任務が発生するようになった。このため例えば西ドイツは対テロを任務とするGSG9*3を組織し、彼らは各種ハイジャック事件において突入、犯人グループを制圧している。同種の物は各国にも存在している。
一応、軍隊の物と警察の物とでは人命に対する温度差はあるとされる*4。
その他、SWATであるとか機動隊であるとか、対テロというよりは治安維持の側に寄っている任務を行うものについてもまとめて「特殊部隊」と呼ぶ人もいる。
各国の特殊部隊
イギリス
- SAS 特殊空挺任務部隊 Special Air Service
- SBS 特別ボート部隊 SPECIAL BOAT SERVICE
- コマッチオ中隊 Comacchio Group
- ロンドン警視庁D11部隊
- SO13 ロンドン警視庁反テロ部(the anti-terrorism branch)
- SAS HAG部隊(House-Assault Group)
- NITIC部隊(秘密作戦の特殊部隊)
- RUC 英国アルスター保安隊(Royal Ulster Constabulary)
ロシア連邦
- 特殊グループ・アルファ(Spetsgruppa "A")
- 特殊グループ・ヴィンペル(ペナント)(Spetsgruppa "Vympel")
- 特殊グループ・カスカード(滝)(Spetsgruppa "Kaskad")
- 閉鎖型株式会社グロム(雷)(GROM Security Company)
- 特殊任務中隊RSN(Rota Spetsial'nogo Naznacheniya)
- 特殊任務民警支隊OMSN(Otryad Militsii Spetsial'nogo Naznacheniya)
- 特別任務民警支隊OMON(Otryad Militsii Osobogo Naznacheniya)
- 緊急対応特殊支隊SOBR(Spetsial'ny Otryad Bystrogo Reagirovaniya)
日本
- SAT Special Assault Team:日本警察特殊急襲隊
- SIT Special Investigation Team:警察刑事部捜査第一課特殊捜査班
- 警察機動隊銃器対策部隊
- SST:海上保安庁特殊警備隊
- WAiR Western Army Infantry Regiment:陸上自衛隊西部方面普通科連隊
- CWCT Cold Weather Combat Training Unit:陸上自衛隊冬季戦技教育隊
- SFGp Special Forces Group:陸上自衛隊特殊作戦群
- SBU:海上自衛隊特別警備隊