私には、一人娘がいる。 その年、五歳になった彼女は、父も母も働く家庭にあって、必然的に保育園に通っている。 毎朝八時半頃、父は子を自転車に乗せ、園まで送り、そのまま仕事場へ向かう。夜は母が、六時前に迎えに行く。 土・日、祝日以外の、彼女の居場所は、家庭ではなく、保育園である。 毎日九時間以上に及ぶ集団生活のツケが、回ってきたのだと思う。「保育園、行きたくない」 いつものように園に送りに行こうとした時、泣き出されてしまった。 私は困った。子の気持ち、わかるつもりなのである。 個を、あるていど殺さなくては、集団のサイクルは回っていかない。それは、自分一人でやりたいことよりも、みんなと一緒にやること…