芝居噺や人情噺といった分類はよく耳にいたしますが、地獄噺も落語のカテゴリーに加えてもいいかと思っております。 地獄噺の代表は、なんと申しましても、大ネタ、『地獄八景亡者の戯れ』ですが、他に『死ぬなら今』『お血脈(けちみゃく)』といった噺がございます。 三つに共通しおりますのは、世の中を映して笑いにしているところでございます。 たとえば、『地獄八景亡者の戯れ』は、地獄の歓楽街で活躍する芸人が、すべて鬼籍に入っていて、現在生きて活躍している著名な噺家や、高座でしゃべっている自分は、近日来演、てな扱いにしています。 『死ぬなら今』は、高座で噺家自身が、 「しょうもない噺でございます」 と謙遜するお噺…