政治学者の中島岳志さんの水俣病記念講演会の指摘に『明窓(250507)』は思う。中島さんは宇沢弘文氏の欠けている視点を指摘。宇沢氏が米国でのキャリアを捨て、帰国した一因が水俣病。公害への問題意識から導いた概念が「社会的共通資本」。それは社会的共通資本の主体があくまで人間にあり、自然や環境を対象物とした点。自然と共に生きた近代以前の人が「人間だけが主体だ」と考えなかったことは、故石牟礼道子さんの著書『苦海浄土』からも分かる。当初は水銀説を否定し、アミン説を唱えた学者は晩年「チッソへの疑念を晴らさねばとの気持ちが強かったのは、日本の産業はかわいく、心から役立ちたい対象だったから」と話したという。自…