私の実家のある町は温泉地です。 温泉地の一角に昔は湯治客専門だった旅館がいくつかあります。 近隣の農家の人達が農閑期になると、一年間働いた身体を癒すために毎年やってきて、二週間以上も当時旅館に滞在して、湯に浸かっては部屋での休憩を繰り返して、日がな一日を過ごします。 食事はといえば、共用の台所があって、そこで自分達で食事を作って部屋に運んで食します。 食材はといえば、農家の人達ですから米・味噌・野菜などは自前のものを持ち込むのが一般的です。 そこへ週に1~2回、移動販売の車がやってきます。 肉、魚、豆腐などなど、湯治客がほしいと思うものは大体何でも揃います。 移動販売車がきた日には、たくさん買…