ふたりの巨人/アイルランドのむかしばなし/エドナ・オブライエン・再話 むろの会・訳/新読書社/1997年 ある夜、おれのところへ、バグパイフふきのバディが泊めてくれとやってきたが、俺はことわり、牛小屋で休むようにいった。というのは、「夜は家からでてはならん」という命令がお上から出ていたからだ。夜、出歩くとろくに調べもせず縛り首になるし、とめたほうも罰を受けるからだ。 バディは、牛小屋でしばらくねむってから、バグパイプをふいて小銭を稼ぐつもりで、朝早く市場に出かけた。本当はまだ朝じゃなくて、月の光にまどわされただけだったのだが。 野原をあるいていたバディが、なにかが頭にドシンとぶつかって、目から…