訓読 >>> 3390筑波嶺(つくはね)にかか鳴く鷲(わし)の音(ね)のみをか泣きわたりなむ逢(あ)ふとはなしに 3391筑波嶺(つくはね)にそがひに見ゆる葦穂山(あしほやま)悪(あ)しかるとがもさね見えなくに 3392筑波嶺(つくはね)の岩もとどろに落つる水よにもたゆらに我(わ)が思はなくに 要旨 >>> 〈3390〉筑波山で「かか」と鳴き立てる鷲のように、私はただ泣き続けることでしょう。あなたに逢うこともなく。 〈3391〉筑波山の後ろに見えるのは足尾山、その名のように悪しと思える欠点など、あの子にはちっともありはしないのに。 〈3392〉筑波嶺の岩もとどろくばかりに流れ落ちる水のように、…