(小学館 2025) 「成瀬ファン」を自認する者としてこの作家の新作を待っていた。いわゆる青春小説。高校生が五人集まり平安時代をテーマとした部活を作り、挑戦していく、爽やかな物語。正直、物足りなさはあったが、描かれた「今時」にやや憧れを抱いたのも確か。こんな高校生活を送れたら、さぞかし楽しかっただろうと…。 ハイライトは学校祭へ向けての取組だ。昭和40年代の高校生は思い出す。クラスの展示・発表をめぐって熱く語り合ったHRの時間や前日準備等々。目立ちたいだけが先走り、真似することで精一杯だったあの頃と比べ、令和の高校生たちの自由な発想や、自分の好きを主張しつつ折り合える柔軟性を羨ましく思った。 …