観おわったあと、幸せな気持ちになる作品は、いろいろある。そして、それらの作品はたいてい、わかりやすい。 舞台「メディスン」は、わかりにくい。わかりにくいけれども、終演後、とても幸せな気持ちになった。だれかと無言で夕日を眺めた記憶が、親密で、満たされた時間をすごした記憶が、わたしにもあったような気がした。 * * * 舞台「メディスン」は、アイルランド生まれの劇作家、脚本家のエンダ・ウォルシュの最新作。 出演者は3人の俳優と、1人のドラム演奏者のみ。「不安とユーモアの入り混じる難解作」というふれこみだ。 脚本:エンダ・ウォルシュ演出:白井 晃翻訳:小宮山 智津子出演:田中 圭 奈緒 富山えり子 …