英:reading diary
読書を通じた感想やメモを記録したもの。 本来は個人的な日記であったがWEBサイトやblogの出現によって表現活動の一部となっている。
松岡正剛氏による「千夜千冊」、らぶナベ@まろまろ氏による「まろまろ記」などが有名である。
日が暮れたあとの街をみんながぶらついている。縁側で西瓜を食べる子どもたちもいて、絵に描いたような夕涼みの場面。 *** ウィング・ビドルボームは両手でたくさんのことをしゃべった。その細くて表情豊かな指、常に活動的でありながら常にポケットのなかか背中に隠れようとする指が、前に出て来て、彼の表現の機械を動かすピストン棒となる。 ウィング・ビドルボームの物語はこの両手の物語である。その落ち着きのない動きは、籠に入れられた鳥が羽をばたつかせるのに似ていて、そのためウィングという名前がつけられた。町の無名の詩人が考えついたのだ。本人はというと、自分の手に怯えていた。いつも手を隠すようにし、ほかの人々の手…
通りに男がたたずんでいる。旅館の庭先をただ凝視している。くもり空の下でいびつなほど鮮やかなレモンイエローのジャージ。すれ違いざま彼の見つめる先を一瞥すると、庭木に生るコケモモの実だった。 *** マスターが見抜いた少年の最もすぐれた能力は、彼が一つの間違いから実に多くを学ぶことだった。チェスを覚えはじめの子が陥りがちな罠に、少年もことどとく引っ掛かったが、普通の子が一刻も早くそこから脱出しようとしてもがくのとは違い、彼は罠に身体を預けたまま、その位置や形状や手触りをじっくり味わうのだった。そして二度と同じ穴には落ちなかった。 小川洋子『猫を抱いて象と泳ぐ』より この「罠に身体を預けたまま、その…
「黙殺」畠山理仁著 集英社 2017年 副題が「報じられない”無頼系独立候補”たちの戦い」。 いわゆる泡沫候補者の選挙戦を取材。 マック赤坂を中心に彼らの真剣な戦いをレポートする。 今回の選挙にも、様々な考えを持つ人達が立候補している。 賛成できかねる主張もあるかもしれないが、それを判断するためにも これまで以上に候補者の政策をよく読もうと思った。
暮合いの海辺で、小さな双子がぴょんぴょん飛び跳ねているのを見る。波が押し寄せてくるたびに飛び上がり、キャッキャと歓声を上げる。それを飽きずにくり返している。日が落ちるまで。 *** 幸福は時を引き伸ばす。毎日が一遍の長編小説のように長く感じられた。毎晩が二本立ての映画だった。毎週が一生に等しかった。静かな一生。いつも彼女の胸の下にドア・ストップのように無理矢理押し込められている悲しみが、その効力をなくすような一生。 イーディス・パールマン「石」(『蜜のように甘く』収録、亜紀書房)より 「これまでの人生で、母親を早くに亡くした以上に悲しいことはなかったよ」と教えてくれた方がいた。当時の私は誰かを…
――借りてきた本リスト―― ・「彩雲国物語12」雪乃紗衣 KADOKAWA・「うめぼしリモコン」まど・みちお 理論社・「ニュースの“なぜ?"は世界史に学べ 日本人が知らない100の疑問2」茂木誠 SBクリエイティブ・「種から種へ 命つながる お野菜の一生」鈴木純 雷鳥社――― ・「彩雲国物語12」ここまででストップですね。これ以上読むのは…怖いので嫌です。主人公の…体に関する良くない伏線が…補強されながらも継続して増えていく。改善の兆しも見えないので…このままいくと、主人公の死亡エンドに行きつきそうで駄目です。秀麗のキャラクター、嫌いじゃないから。もうこれ以上進められないかな。読了です。 ・「…
「バージェス家の出来事」 エリザベス・ストラウト著 小川高義訳 早川書房 2014年 メイン州の田舎で育ったバージェス兄妹。妹の息子が起こした事件をきっかけに、それぞれの人生が大きく揺らぎ始める。それは兄妹が幼い頃に経験した悲劇の記憶にも及ぶ。様々な真実が浮かび上がり、やがて新たな人生への一歩を踏み出してゆく彼ら。未来が明るいことを祈りたい。
こんにちわ!読書好きミニマリスト サノです。今回は...【ミニマリストの読書日記 #1】教師の親父から「日記を書くときに使うな」と言われた ”ある形容詞” を思い出した読書『キャッチコピー力の基本』《父の日》という内容で、読書日記をお送りします。 サノくん ミニマリストの読書日記 #1 小中学生の頃、ボクが日記で使えなかった形容詞「◯◯い」 『キャッチコピー力の基本』を読書したら約10年ぶり親父の教えを思い出した 親父は将来を見据えていた?表現を具体化することの重要性 おわりに あわせてオススメの記事 ミニマリストの読書日記 #1 「ミニマリストの読書日記」では 「自分の経験や考え」と「読書し…
過去の読書日記に引用した本について、5冊分まとめて紹介。 【011】ミラン・クンデラ『笑いと忘却の書』 【012】ジャンシー・ダン 『子どもが生まれても夫を憎まずにすむ方法』 【013】コンラッド『シークレット・エージェント』 【014】コーマック・マッカーシー 『越境』 【015】ジル・クレマン 『動いている庭』 【011】ミラン・クンデラ『笑いと忘却の書』 戦後のチェコの政治的混乱を背景に、集団から弾かれる人間の姿が描かれる。男女のあけすけな性愛描写が数多く登場するが、チェコの近代史の暗喩として機能している。それは度重なる為政者の交代、その都度不都合な記録を抹消し、過去を書き直してきた「忘…
ダイバーシティという言葉があっちこっちで言われるようになって久しいけれど、多様性がどうして大切なのかというのを理解したいと思って、読んだ本。 『多様性の科学』著者:マシュー・サイド 最高の人材を採用してきたはずCIAが9.11のテロを見逃したのは、職員のほとんどが「白人、男性、アングロサクソン系、プロテスタント」で構成されていたからではないか。 同じ系統の人たちしかいないとしても、“最高の人材”なのであれば問題ないのでは? 多様性とは別のところに問題があったのでは? こういう疑問に対して、一つ一つ論理的に解説してくれているのが本書。 前回記事に書いた『存在しない女性たち』は、女性の意見を取り入…
夜中、窓を開けて外の空気を吸う。雨、しっとりとした夜気。金魚鉢からあぶくのはじける音がする。 *** 作品の選定基準のひとつは、作者が文学の決定的な力、ほとんど魔術的な力を信じていることだと述べ、十九歳のナボコフを、ロシア革命のさなか、弾丸の音にも気を散らされることなく書きつづけたナボコフを思い出すように言った。銃声が響き、窓から流血の戦闘が見えても、彼は独り詩を書きつづけた。 ナフィーシー『テヘランでロリータを読む』白水社より 古典作品の魅力の一つに、古今東西の「ファン」による考察や二次創作の豊かな蓄積がある。手を伸せば、自分一人では想像も及ばなかった視点の作品解釈や感想などが楽しめる。一粒…
「早起きを習慣にする」 これまで人生で何度トライしてきただろうか。 会社を辞めて早起きをする理由もなくなり、 同棲している彼女のお見送りさえ、いつの間にかやらなくなってしまった。 1時間早く起きれば、読書だって、筋トレだって、ブログの投稿だってできる。 1時間早く起きる生活を、1年続ければ6日、10年続ければ2カ月時間が増えるんだから、やらない手はない。 分かってはいるけど、いつだって三日坊主で終わってしまう。 そこで今回は、本気で早起き習慣を手に入れるために、「早起きを習慣にする」ことについて調べてみた。 早起きを習慣にするのが難しい2つの理由 まずは、なぜ早起きを続けることが難しいのかにつ…
勢古浩爾氏が「続・定年バカ」(SB新書 2019)で、楠木建氏の「すべては「好き嫌い」から始まる(文藝春秋 2019)」を紹介して、橘木の好悪を紹介している。 それは、「賭け事はまったくやらない。競技スポーツは嫌い。テレビはみない。」「徹頭徹尾室内派文科系」「組織の上下関係がいや」「歌舞音曲が好き」「集団行動とかチームワークがテンでダメ」「フェイスブックが好きになれない。」「人づき合いが億劫なタイプ」「そもそも多くの人々との『つながり』を求めていない」「私的な友達はそう多くない。というか、ヒジョウに少ない。」 いいなあ! ほとんどわたくしと同じである。唯一の違いは「テレビはみない」で、昨年10…
ブレイディみかこ 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』 | 新潮社 FROM 僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー ブレイディみかこ著 新潮社 2019年6月21日 - いもづる読書日記 TO北アイルランド紛争の歴史 / 堀越 智【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア 第10章「ゆくディケイド、くるディケイド」に出てくるポーグスとカースティ・マッコールの「ニューヨークの夢」、たまたま、ポーグスの中心人物であるシェイン・マガウアンの映画「シェイン 世界が愛する厄介者のうた(原題 Crock of Gold)」を見ていたので印象的に思…
ここ数週間ほど、ひどく疲れていました。にわかに蒸し暑くなった気候のせいもあるのかもしれませんが、とにかく身体が疲弊していて「しんどい」のです。それでもジムには通っていますが、ふだんよりメニューがはかどりません。しかもお昼を回って夕刻にいたる時間には疲労もピークに達していて、ちょっと書棚から資料のファイルを取り出すだけでも「よっこいしょ」「ああ疲れる」と言葉が漏れ、同僚から「心の声がダダ漏れになってるよ」と指摘される始末。そんな中、職場の図書館で借りた津野海太郎氏の『最後の読書』を読み始めたら、冒頭に鶴見俊輔氏の『もうろく帖』、そのあとがきが紹介されていました。 七十に近くなって、私は、自分のも…
「15歳のテロリスト」松村涼哉「すべて、吹き飛んでしまえ」突然の犯行予告のあとに起きた新宿駅爆破事件。容疑者は渡辺篤人。たった15歳の少年の犯行は、世間を震撼させた。少年犯罪を追う記者・安藤は、渡辺篤人を知っていた。かつて少年犯罪被害者の会で出会った孤独な少年。何が、彼を凶行に駆り立てたのか?進展しない捜査を傍目に、安藤は、行方をくらませた少年の足取りを追う。事件の裏に隠された驚愕の真実に安藤が辿り着いたとき、15歳のテロリストの最後の闘いが始まろうとしていた―。 少年法を変えることの難しさ、犯罪が起きたときの被害者、加害者両家族に起こる差別のようなもの、他人からの好奇の目がどのようなものなの…
2週間ぶりにきて まず週刊文春を2冊まとめ読みすると メモしたいものが無限にでてくる のでこわい自分メモとりあえず映画「三姉妹」みたいけど公開週が全国3館二週目5館ってなあううむとまれいくなら伏見しかないわね(静岡県民 東京いくよりは名古屋がちかい)はちどり を見て それからいやさううむ読書日記が 橋本愛と朝井リョウで えっと 朝井リョウは吉本ばななの 死について思う小説を 橋本愛は 仏教が思考をクリアにする話を 上げて仏教は 無なんだけど 心の乱れは三毒だっていうし 貪欲と妄想と あとなんだっけ 怒りですなんかあってたらそこへもどる と書いてた わかりやすいあとは 『くるまの娘』の書評で高島…
LIFEアーティスト:小沢健二ユニバーサル ミュージック (e)Amazonここ最近ぼくは、小沢健二のアルバムを聴き返している。とはいうもののぼくもすでに今年で47になるので、感受性が硬直したせいか若い頃に聴いた『犬は吠えるがキャラバンは進む』や『LIFE』が中心になってしまう。おかしなもので、『犬は吠えるがキャラバンは進む』はリリースされた当時から好きだったのだけれど『LIFE』の方はリアルタイムで聴いてもそんなにピンとこなかった。だからそんなに聴き返さずに過ごしてしまった。今、『LIFE』のどこかやけっぱちですらあるような楽天的な空気をぼくは支持したいと思う。もちろん、人生はそんなに素晴ら…
筑摩書房 海をあげる 上間 陽子 著 FROM 子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から ブレイディみかこ みすず書房 2017年4月17日 - いもづる読書日記 TO 上間陽子『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』特設サイト - 太田出版 「そして私は目を閉じる。それから、土砂が投入される前の、生き生きと生き物が宿るこっくりとした、あの青の海のことを考える。ここは海だ。青い海だ。珊瑚礁のなかで、色とりどりの魚やカメが行き交う交差点、ひょっとしたらまだどこかに人魚も潜んでいる。私は静かな部屋でこれを読んでいるあなたにあげる。私は電車でこれを読んでいるあなたにあげる。私は川の…
シドニー発、インディアンパシフィック号でパースへ。2日めは南オーストラリア州に入りました。 ⇩1日めの様子はこちら hitsuji-cozy.hatenablog.com 【Day2 午前】ブロークンヒルの見学 1日めの夜はほとんど眠れぬまま過ごし、5時過ぎに起き上がってのそのそと身支度を始めました。まだニューサウスウェールズ州内でしたが、時差によって寝ている間に30分時間が戻っていました。(州都シドニーから約1160kmも離れているので、南西500kmに位置するアデレードとの結びつきが強く南オーストラリア時間を使用、とWikipediaより。) 朝早かったので、列車の中でお留守番の方もいまし…
今日読んだ本: ルース・バトラー『ロダン:天才のかたち』 ワーグナア『芸術と革命』 中地義和『対訳 ランボー詩集』 ロマン・ヤコブソン『ヤコブソン・セレクション』 中川淳一郎『よくも言ってくれたよな』 和田秀樹/中野信子『頭のよさとは何か』 ニック・ランド『絶滅への渇望』 里中李生『愚か者の品格』 伊藤潤一郎『ジャン=リュック・ナンシーと不定の二人称』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 読書日記が500を超えた。 これからは単なる要約や乾ききった簡素な感想にとどめることなく、もう少し一歩先、横断的かつ立体的な複数性のある内容に富む日記でありたい。 しか…
019 鬼滅の刃 人生ゲーム 娘の誕生日に「鬼滅の刃 人生ゲーム」(タカラ・トミー)を買った。だいたい週5で夜8時からやっている。 020 好きなブランド ・Creative Drug Store ・The Black Eye Patch ・TIGHTBOOTH ・EVISEN ・Chaos Fishing Club だいたい数日前に告知され、だいたいすぐに売り切れるので、その時々で手持ちがあれば買っている。お金を貯めようと思う。 021 実在しない言葉 不労所得。 022 毎週見ているテレビ(2022年6月) 「元彼の遺言状」 「アンタウォッチマン」 「100カメ」 「ロンドンハーツ」 「有…
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Les mains sales de Jean-Paul Sartre - archive.org 『汚れた手』──“Les mains sales”──、長きにわたったジャン=ポール・サルトルさんの執筆歴からすれば、やや初期の作でもあるような戯曲。とうとつのようではありますが、どこかの路上でさいきんふと、それのことを思いだしたんですよね。 この戯曲『汚れた手』は1948年に初演されたものだそうで、当時としてはきわめてヴィヴィッドな題材を扱っています。すなわち。ヨーロッパの辺境国──私の印象ではユーゴスラビアがモデル──における対ナチスのレジスタンス運動……そしてその内部からの分裂と破局、とい…