「愛はすべてを混淆せず、渾然となす」と今度は日本語に直してみる。そうすると、一寸はゲーテらしくなったか。そのとき、統一の念頭にあるのは勿論、ジャム・サラダのこと。愛はすべての事物を、ジャム的に混淆せず、サラダ的に渾然となす、とファウスト博士のように私訳してもよい。しかし、mixをどうとるべきかは、まだそれほど自明ではない。「confuse」(混同)、言うなればジャム的統一への対立概念として、「mix」(混ぜる)をサラダ的統一と解釈したが、本当にそれでいいのか?(鈴木結生『ゲーテはすべてを言った』朝日新聞出版、2025) こんばんは。学生時代にお世話になった研究室の教授が本年度で退官するというの…