日本の作家・評論家。代表作に『女ざかり』など。
1925年山形県生まれ。東京大学文学部英文学科卒業。
1952年、季刊同人雑誌『秩序』を創刊し、『エホバの顔を避けて』を連載。同作は1960年に刊行。1968年に『年の残リ』刊行し、同作で第59回芥川賞を受賞した。
1972年に『たった一人の反乱』、1982年に『裏声で歌へ君が代』を刊行。1993年には『女ざかり』を刊行し、翌年には映画化された。
2012年10月13日、心不全のため死去。87歳。
など。
その他。
ほか。
★★★★☆ あらすじ 終戦間際に知り合った男から罪の告白を聞かされ続ける肉屋の男を描いた表題作他、全3篇を収めた作品集。 感想 表題作は、今は肉屋の在日朝鮮人(明言はされないが)の男が主人公だ。終戦直前に知り合った男との20年に渡る奇妙な関係を描いている。主人公は男から原爆投下の前日に妻を殺したことを告白され、その懺悔を戦後も繰り返し聞かされ続けている。 男は自分の犯した罪が原爆で帳消しにされたことが納得できずにいるのだが、そこにはそんな心の葛藤を楽しんでいるフシも見える。泣き言を言うのは気持ちがいいし、慰めてもらうのも気持ちがいいものだ。 (adsbygoogle = window.adsb…
★★★★☆ あらすじ 大学の事務員として働く男は、かつて関係のあった女性の訃報を受け取ったことがきっかけで、戦時中に徴兵忌避者として日本中を旅したことを回想するようになる。 感想 大学事務員として働く中年の主人公の現在と、徴兵を拒否して全国を逃亡していた戦時中の回想が交互に描かれていく。 まずは徴兵を逃れて全国を旅する戦時中の話が興味深い。そもそも監視が厳しいからそんなことは出来ないと思っていたのに案外イケるのかとか、みな質素に暮らしているのかと思っていたのに香具師が全国を回って生計が立てられるくらいには皆生活を楽しんでいたのかとか、フィクションとはいえ戦時中のイメージを覆されることばかりだっ…
本日は朝にパンの仕込みをして、そのあとトレーニングへと行って、 昼からは今週分の食材を買うためにスーパーめぐりをし、そのあとはパン 作業を再開することにです。本日のパンの焼き上がりは18時となりました。 パン作業は待ち時間が長いことでありまして、その間は小説を読み継ぐ ことにですが、本日も「ゲーテはすべてを言った」となりです。 これが思わぬ苦戦でありまして、本日は最後にたどりつく予定でありました が、なかなか苦戦であります。 苦戦の理由はなんでありましょうね。当方は、このような仕掛けの小説は 嫌いではないというか、むしろ好きなのでありますが、どうして苦戦している のかなと思うことで。 当方がこ…
本日はすこし自由時間があったので、本を読むつもりでありましたが、いざ 手にしてみましたら、意外にもページを稼ぐことができずでありました。 この週末に読んでしまおうと思っていたのは鈴木結生さんの「ゲーテはすべて を言った」でありますが、これは一気に読むことはできず、この時間には全体の 三分の一ほどでとまっています。 本日中に最後にたどり着くのはちょっと無理でありましょうか、まあ急ぐこと はないことで。 ゲーテはすべてを言った 作者:鈴木 結生 朝日新聞出版 Amazon 昨日に読んでいたところに、次のくだりがありました。 「今年の誕生日に娘からプレゼントしてもらった丸谷才一とディヴィッド・ロッジ…
★★★☆☆ 内容 「遅刻論」など、諸事について様々な書物を紐解きながら著者が思いつくままに綴るエッセイ集。 感想 様々なことを綴ったエッセイ集だが、食べ物に関する話が多い印象だ。身近だし共通の話題となるしで語りやすいのだろう。周りを見渡しても、テレビやSNSでも、皆が話題にしているのはほぼこのネタなのでは?と思ってしまうほどだ。 そんな中で興味深かったのは中国の犬食文化の話だ。ペット用と食用の区別なく犬を飼っていたらしい。可愛い可愛いと可愛がりながら、ある日突然その犬を食べてしまうこともあるのかと想像するとゾッとする。なかなか理解しがたい感覚だ。 (adsbygoogle = window.a…
2024年10月16-22日 ・有栖川有栖『こうして誰もいなくなった』 ・キム・フィールディング(冬斗亜紀訳)『犬晴れのクリスマス』 ・アンドレイ・クルコフ(沼野恭子訳)『ペンギンの憂鬱』 ・丸谷才一『笹まくら』 ・辻村七子『宝石商リチャード氏の謎鑑定 再開のインコンパラブル』 ・斎藤美奈子『名作うしろ読み』 ・斎藤美奈子『趣味は読書。』 ・斎藤美奈子『文庫解説ワンダーランド』 ・斎藤美奈子『妊娠小説』 以下コメント・ネタバレあり
2024年10月9-15日 ・丸谷才一『快楽としての読書 海外篇』 ・丸谷才一『快楽としてのミステリー』 ・ブラム・ストーカー(唐戸信嘉訳)『ドラキュラ』 ・切江真琴『どうやら運命の恋人とすでに付き合っていたようです』 ・セバスチャン・フィツェック(酒寄進一訳)『座席ナンバー7Aの恐怖』 以下コメント・ネタバレあり
猫と悪魔 / ジェイムズ・ジョイス (著), 丸谷才一 (翻訳) / 小学館 / 1976年 / 287x223mm / 40ページ / ハードカバー は「本まるさんかくしかく」で販売中です。 hon034.stores.jp フランスのボージャンシーという河沿いの小さな町に悪魔がやってきて、町のみんなが望んでいる橋をかけてやると言います。ただし、1つだけ条件があるらしいのです。『ユリシーズ』の著作で知られるジェイムズ・ジョイスのお話、香港の作家:ジェラルド・ローズがイラストを担当。それから、訳は丸谷才一。彼はこの本で文部省の日本語教育にしっかり噛みついています。いろんな意味で、素晴らしい絵本…
2024年10月2-8日 ・ジェーン・オースティン(小尾芙佐訳)『高慢と偏見』上下 ・講談社インターナショナル『これを英語で言えますか? デラックス』 ・ライリー・ハート(冬斗亜紀訳)『もしも裸で泳げたら』 ・米原万里『打ちのめされるようなすごい本』 ・平山夢明『トゥルークライム アメリカ殺人鬼ファイル』 ・斎藤美奈子『モダンガール論 ――欲望史観で読む女子の二〇世紀』 ・高橋源一郎、斎藤美奈子『この30年の小説、ぜんぶ 読んでしゃべって社会が見えた』 ・川琴ゆい華『ソロ活男子の日常からお伝えします』 ・丸谷才一『快楽としての読書 日本篇』 以下コメント・ネタバレあり
★★★☆☆ あらすじ 世界の終末を告げるため、神エホバに大都市に向かうよう命じられた靴職人・ヨナ。 旧約聖書の「ヨナ書」を題材にした作品。 感想 堕落した大都市へ行き、神の怒りによって滅ばされることを伝えるよう命じられた男が主人公だ。神からの啓示とはいえ、それを知らない人からしたら単なる悪い冗談でしかなく、まともに聞いてくれるわけがないと考えるのは当然だろう。 それに聖職者や政治家ならまだしも、ましてや主人公はしがない一介の靴職人だ。自分の言葉など誰が信じるのか?と思うのも不思議ではない。ヤバい奴だと思われるのがオチだからと行きたがらず、使命から逃れようとする主人公の気持ちはよく分かる。 (a…