手術室で古くから使われている局所麻酔薬、リドカイン(キシロカイン®)。通常は神経周囲に注射して痛みをブロックするために使われますが、近年、これを「全身麻酔中に点滴静注」する手法が、術後回復強化プロトコル(ERAS)の切り札として広まっています。 「なぜ今さら、リドカイン?」 その答えは、単なる鎮痛を超えた「抗炎症作用」と「臓器保護効果」にあります。本記事では、IVリドカインが術後鎮痛の「主役」に躍り出た歴史的経緯と科学的根拠について考察します。 IVリドカイン復活の経緯:オピオイドからの脱却 実は、リドカインを点滴で鎮痛に使う試みは1950年代から存在しました。しかし、当時は硬膜外麻酔が全盛で…