今日の産経ニュース(8/26分)(追記・訂正あり)

■【白人至上主義衝突】コロンブスも「憎悪の象徴」に…NYで銅像撤去の議論「先住民を虐殺」
http://www.sankei.com/world/news/170826/wor1708260043-n1.html
 一応断っておけば「南部の白人至上主義者が美化してるリー将軍」とコロンブスとでは性格が違いますので「コロンブス撤去運動が不適切だからリー将軍は撤去しなくていい」とはなりません。
 ただ「コロンブスやマゼラン」だのが現在の眼で見れば先住民虐殺してるのも事実で俺個人は「撤去運動には一理ある」と思います。
 本多勝一氏にもそう言った視点からの著書として『マゼランが来た』 (1992年、朝日文庫)というモノがあったかと思います。


■インラック前タイ首相が「ドバイに逃亡」 兄タクシン氏と合流図る?
http://www.sankei.com/world/news/170826/wor1708260028-n1.html
 政治亡命と書かない辺りが実に産経らしい。現在のタイが軍事独裁であることを考えればこうした「逃亡」には政治亡命の要素はあるでしょうし、一概に非難もできないかと思います。
 一方で産経は「1959年ラサ暴動の首謀者ダライラマがインドに逃亡」と誰かが書くと怒り出すわけです(苦笑)。


■【トランプ政権】初恩赦は85歳…移民取り締まりの「最もタフな保安官」
http://www.sankei.com/world/news/170826/wor1708260035-n1.html

 元保安官は裁判所の差し止め命令を無視して中南米系への交通違反の取り締まりを続けたとして、連邦地裁が今年7月、有罪と判断していた。

 トランプらしいと言えばトランプらしいですが、こんな馬鹿な事をやれば、トランプ批判派のトランプ批判はさらに厳しくなるでしょう。


■【トランプ政権】大統領、トランスジェンダーの軍新規入隊を禁止 国防長官に指示
http://www.sankei.com/world/news/170826/wor1708260036-n1.html
 トランプらしいと言えばトランプらしいですが、「トランスジェンダーの軍入隊」はオバマ政権時代に認められています。
 「新規入隊禁止」としたのはさすがのトランプも「オバマ時代に入隊したトランスジェンダーの首切り」なぞすれば
1)裁判闘争(惨敗確実)
2)マスコミや野党からの厳しい批判
で政権がやばくなるとの判断でしょうが、とはいえ「新規入隊禁止」に限定したところで「合理性のない差別」であることには変わりありません。トランプ批判派のトランプ批判はさらに厳しくなるでしょう。
 俺の願望込みですがトランプもこの方針を早晩撤回せざるを得なくなるんじゃないですかね。いずれにせよトランプみたいなバカには本当に早く大統領を辞めて欲しいもんです。
 

■【杉田水脈*1のなでしこリポート】8月6日の広島で、何が行われていたのか?
http://www.sankei.com/life/news/170826/lif1708260001-n1.html

 基調講演を行ったのは、政治評論家の武藤一羊氏*2。政治評論家というよりは「ベトナムに平和を!市民連合(べ平連)」を立ち上げた*3極左の活動家といった方がよいでしょう。現在の肩書は「ピープルズ・プラン研究所*4運営委員」となっています。

と武藤氏を極左呼ばわりする杉田は「新しい歴史教科書をつくる会理事」という極右なので話半分に聞いた方がいいでしょう。いずれにせよ極左であろうとなかろうと、杉田の紹介に寄れば、武藤氏が主張していることは「保守穏健派でもする程度の安倍政権批判&彼の持論である天皇制廃止論」でしかなく、彼を支持する支持しないはともかく別に非難に値するような問題発言は何処にもありません。

 前半は「打倒安倍政権について」。かなり妄想が入った内容でした。

 杉田がまともに説明しないので杉田にとって武藤主張のどの辺りが妄想なのかさっぱり分かりません。
 「安倍は戦前を美化してる」なのか。はたまた「日本会議によって自民党が事実上乗っ取られた」なのか。「NHK等マスコミを安倍は恫喝して批判報道をさせないようにしている」なのか。「加計、森友疑惑で安倍支持率が落ちてるので何としてでも安倍政権を打倒しよう、困難ではあっても不可能ではないと思う」なのか。別に全部妄想ではないと思いますが。
 

■【加計学園問題】加戸守行前愛媛県知事「けしからん話だ」 獣医学部設置認可保留判断を批判 「仮につぶれたら人生をかけて戦う」
http://www.sankei.com/politics/news/170826/plt1708260004-n1.html
 まあまじめな話口先だけでしょう。本当に潰れたら黙りでしょうね。大体「人生を賭けて戦う」て何をする気なのか。もはや県知事でない加戸に一体何が出来るのか。しかし「保留」というあたり「ほとぼりが冷めたら認可」の疑いがありますがさすがの安倍も今強行したらヤバイという計算はあるようです。


■【産経抄】8月26日
http://www.sankei.com/column/news/170826/clm1708260003-n1.html
 森友・加計疑惑追及を「政権打倒運動だ」といういつもの産経です。もちろん「政治家の不正追及」はその政治家が「首相や大統領なら」政権打倒運動でしょう。
 しかし「だから何?」つう話です。
 たとえば
1)ウォーターゲート事件追及はニクソン政権打倒運動
2)竹下登*5首相、宮沢喜一*6蔵相、安倍晋太郎*7幹事長等、政権与党幹部の名前が浮上したリクルート事件追及は竹下内閣倒閣運動
3)崔順実疑惑追及は朴クネ政権打倒運動
でしょう。ならばこれらの疑惑は追及されなくて良かったのか。そんなことないわけです。森友・加計疑惑は産経以外のほとんどのメディアが重大な疑惑視し、野党も全野党が追及し、支持率も「まだまだ俺から言わせれば高い」とは言え、かなり下がってきた大変な疑惑です。
 そうした重大な疑惑で「安倍様が大事」とばかりに詭弁を弄する産経には呆れます。まあ産経にとっては自民よりも安倍が大事なのでしょう。
 俺だったら「森友・加計なんてリクルートと違って安倍の個人的犯罪だから、安倍をおろして、石破*8元幹事長、石原*9元幹事長や岸田*10政調会長などを安倍の後釜にした方が長い眼で見れば自民にとっていい」と思いますがそうした考えは産経にはないわけです。


■【主張】ケンブリッジ問題 中国が学問の自由脅かす
http://www.sankei.com/column/news/170826/clm1708260002-n1.html
 中国のケンブリッジ大への不当な圧力を批判する資格は「灘中学への不当な政治圧力を容認する」あるいは「国立大の卒業式で必ず国旗掲揚がされるように政府は働きかけるべきだ*11と主張する」産経*12にはないと思いますがそれはさておき。
 こんな「まともに中国批判すれば突っ込みようがない記事」でもツッコミどころができるのがアホの産経です。

中国の高官、企業からは、多額の寄付金が大学に寄せられているという。

 もちろん寄附金をもらうことも出すことも何ら問題ではない(問題は資金提供に付けられる条件が不当なときのみです。)。特に「中国政府」ならともかく民間企業の資金提供を中国政府と同一視することなどできる話ではないでしょう。のっけからアホ文章の産経です。

 米紙によれば、全米の大学・大学院には、30万人以上の中国人学生が在籍している。中国人の受け入れによる授業料収入は、大学経営の重要な基盤となる。世界に広がる現象ともいえる。
 大学ごとに編成される中国人留学生組織が、互助や親睦を超えた影響力を持ち、大学内で行使していることにも警戒が必要だ。

 おいおいですね。個別具体的なケースで中国人留学生の動きを批判するならともかくこれはただの中国人差別でしかありません。

米国では、日清戦争を取り上げた歴史研究者が、中国人学生ら*13の抗議で教材を削除し、陳謝させられた。

 これだけでは何がなにやらさっぱり分かりません。なにせ抗議を受けた歴史研究者の名前すら出さないのだから詳しい事情を調べることが困難です。
 当然ながら一般論で言えば「抗議すること」も「その抗議に応じて謝罪などする事」も何ら悪ではありません。
 問題は
1)この中国人学生らの抗議がどんなモノだったか(つまり日清戦争の取り上げ方がどう問題だったのか。抗議において暴力行使など問題行為が行われたのかなど)
2)それに対する対応はどんなものだったのか(どのような謝罪が成されたのかなど)
でそれがわからなければ評価のしようがない。
 その点を具体的に書かない産経は
ア)具体的に書いたら何ら問題ない抗議であることがばれるので曖昧に書いてごまかしてる
イ)中国人のやることは全て言いがかりであるとの不当な偏見を持っている
と疑われても文句は言えないでしょう。
 いずれにせよこの抗議のバックに「中国政府がいた&抗議内容が明らかに不当」というのでない限り、「ケンブリッジ大の件」と絡めて話をすべき事柄ではないでしょう。

中国語教育の普及を掲げ、中国が海外大学で設置を進める孔子学院がある。そこを拠点に、チベット問題などで中国側の主張に沿った宣伝活動が行われたと、米国やカナダで懸念が示されている。

 懸念つうよりただの言いがかりだと思いますが。
 そもそも「孔子学院」で中国寄りの主張が行われたとしても、誰もそれをそのまんま鵜呑みにしないでしょうし、孔子学院以外の「大学の研究」に不当な介入を中国側がしない限りどうでもいい話でしょう。
 そもそも「孔子学院での中国」に限らず、その他のケースでも出資者の意向に反する講座が行われることなどないでしょうに。

*1:著書『慰安婦像を世界中に建てる日本人たち』(2017年、産経新聞出版)、『なぜ私は左翼と戦うのか』(2017年、青林堂

*2:著書『アメリカ帝国と戦後日本国家の解体』(2006年、社会評論社)、『潜在的保有と戦後国家:フクシマ地点からの総括』(2011年、社会評論社)、『戦後レジーム憲法平和主義』(2016年、れんが書房新社)など

*3:勿論武藤氏はメンバーではありますが、「1965年のべ平連結成時、34歳の彼(1931年生まれ)」は当時それほどの著名人でもないし、到底「立ち上げた」といえるほどの大物ではないでしょう。むしろ鶴見俊輔(1922年生まれ、当時43歳)や小田実(1932年生まれ、当時33歳)などの方が「立ち上げた」と言う言葉に該当するでしょう。なお、べ平連は左派とは言えても極左と言えないでしょう。

*4:公式サイト(http://www.peoples-plan.org/jp/

*5:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)などを経て首相

*6:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相辞任後も、小渕、森内閣で蔵相

*7:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)など歴任

*8:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*9:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相など歴任

*10:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相を経て自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)

*11:露骨に脅せば勿論ですがそうでなくても予算を握ってる政府がそう主張する事は脅しも同然でしょう

*12:まあ他にも自分に都合のいい政治介入は平気で産経は容認しますが

*13:「ら」というあたり中国人以外の「(白人、黒人などの)学生や教職員、メディアなど」の抗議もあったのではないのか?