假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑) このページをアンテナに追加 RSSフィード

★★★特撮・アニメ・時代劇・サブカル思想をフォロー!(予定・汗)★★★
悪名高き……いや、世間的には全く無名な(笑)、特撮批評(評論)・感想(レビュー)サークル『仮面特攻隊(假特隊/仮特隊)』。そのBlog版をひっそり始めたいと思います。当面は主宰者が昨05年、同人各誌に書いた文を、それ以前の文も過去日付にじょじょにUP。Blog名の由来ですが、主宰者の文が「読みにくい」と指摘されることが多いので(涙)、嘗胆・自戒の意も込めました。精進したいと思いますので、よろしくお願いいたします。またなにぶん、アナログ・アナクロ人間の残業リーマンでして、基本的には毎日PCを立ち上げません。ただ同人活動15年でイタズラ電話や脅迫状が絶えなかったことを思うと(ゲラゲラゲラ)。コメントもつかないとは思いますが、少しならともかくあまりにも荒れた場合、ウェイン町山Blogにならってシャットしちゃえばイイでしょう(笑)。あと特撮同人関係の知友はコメントを禁止します。「○○さん、ひさしぶり」「ようこそ、××さん」とかを衆目の場でやるのって、個人的にはスキじゃないので。〜お奨め:今こそ昭和ウルトラの遺産を活かせウルトラマンネクサス仮面ライダーTHE FIRSTゴジラFINAL WARS。(文・T.SATO)

2017-07-15 パワーレンジャー

[]パワーレンジャー 〜戦隊5人に「スクールカースト」を色濃く反映! 「自閉症スペクトラム」青年も戦隊メンバー! パワーレンジャー 〜戦隊5人に「スクールカースト」を色濃く反映! 「自閉症スペクトラム」青年も戦隊メンバー!を含むブックマーク パワーレンジャー 〜戦隊5人に「スクールカースト」を色濃く反映! 「自閉症スペクトラム」青年も戦隊メンバー!のブックマークコメント

2017年9月2日(土)UP)


『パワーレンジャーFOREVER RED』 〜坂本浩一監督作品・戦隊を逆照射!

『恐竜戦隊ジュウレンジャー』総論 〜子供番組への回帰

『百獣戦隊ガオレンジャーVSスーパー戦隊』 〜赤星政尚・竹本昇、出世作! 「戦隊」批評の特殊性!

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 TV特撮恐竜戦隊ジュウレンジャー』(92年)のアメリカでの翻案作品『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』(93年)のリメイク映画『パワーレンジャー』(17年)公開記念! とカコつけて……

 『パワーレンジャー』公開日の2017年7月15日付けで、映画『パワーレンジャー』評をUP!



25年目の『パワーレンジャー』!

(文・T.SATO)

(17年8月11日脱稿


 アメリカの田舎町の交差点に、カラフルというより多少シックな色合いに彩度を落とした5色の恐竜戦隊ジュウレンジャー、もといパワーレンジャーが登場!

 実写映画版『トランスフォーマー』シリーズ(07年〜)のように、ディテールがゴチャゴチャした有機的なメカにアレンジされた戦隊巨大ロボ・大獣神(ダイジュウジン)、もといメガゾードが、金色の巨大怪人と壮絶な巨大バトルを繰り広げる!

 そして、本作では劇中、戦隊メンバーのひとりが、自分は「自閉症スペクトラム」なのだともカミングアウトする……。ナ、ナンだってェェェェェ!!


 日本のスーパー戦隊シリーズ恐竜戦隊ジュウレンジャー』(92年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120220/p1)がアメリカ向けに翻案、アジア圏以外の全世界でも放映されて大ヒットを記録した元祖『パワーレンジャー』こと『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』(93年)。この元祖『パワーレンジャー』最初の1年分は、関東圏だと95年10月から水曜深夜、96年4月からは土曜早朝に放送されたので、ロートルオタクであればご覧になった方々も多いことであろう。


 古い話で恐縮だけど、原典『恐竜戦隊ジュウレンジャー』はその「恐竜」という華やかなモチーフで、当時の幼児たちに強烈にアピール! 玩具売上&視聴率も好調であった。しかし、当時のまだリアル&シリアス至上の風潮が強かった特撮評論オタクたちの間では、前年度の高いドラマ性を誇った『鳥人戦隊ジェットマン』(91年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110905/p1)と比して物足りなさを感じさせたせいか、大ブーイングを受けたものである(汗)。

 そんな作品の翻案版が世界中で超特大ヒットした! という情報は、当時もすでにマスコミサブカルの一角を賑わしていた。ピンクレンジャーと6人目の戦士・グリーンレンジャーとの劇中での色恋が話題になっている! なぞと女流レポーターが得意げにTVかドコかで解説していたことなども思い出す。

 当時の筆者も、とある送迎のマイクロバスの中で少々ヤンキー入ったバイト青年たちが、「いまアメリカ戦隊シリーズリメイクされてヒットしているらしいゼ!」「知ってる、知ってる。観たいよなぁ!」とホザいている光景にも遭遇したものだ。洋モノだったら有り難がるのかよ! この植民地の民の卑屈な奴隷根性の輩たちめ! 今放送している『忍者戦隊カクレンジャー』(94年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120109/p1)だって面白れーんだから観ろよ! と反発を深めたものである(心の中だけで・笑)。



元祖『パワーレンジャー』日本放映の記憶&リメイクへの不安


 で、そんな世界中で大ヒットしたという元祖『パワーレンジャー』が凱旋放映されたので、特撮マニアたる者、当然観てみた。

 ……ビックリ! 少なくともこの元祖『パワレン』に関しては、原典『恐竜戦隊ジュウレンジャー』よりもユルユルで牧歌的でテキトーでチープな作り(笑)だったのだ! 内容は高校生活がメインで、敵の怪人やメインストーリーとは別に、漫画『ドラえもん』(69年)のジャイアンスネ夫みたいなコンビが、5人たちに毎回毎回チョッカイを出すお約束トタバタなどもある。変身前の5人のアクションにもキレや冴えはない。映像効果もショボい。

 しかし、ハリウッドの特撮映画で眼が肥えているとされてきた世界中の子供たちが、巨大感皆無のチープなミニチュア巨大戦に幻滅して視聴を取りやめる……などということもなく、――もちろん内心ではチープだとも感じていたろうけれども(汗)――、それをも上回る高揚感があるのだろう。世界中のチビっ子が視聴を継続しているのである。

 ホントウにこんなんでイイのかヨ!? ……そう、結局のところ、子供たちには子供ダマシでもよかったのである!?(爆)


 いやいやいや。子供ダマシとも違いますネ(笑)。日本の当時の青年オタクたちにとっては、充分にチープで当時でももう15年間も続いていた「ルーティン」な戦隊シリーズのフォーマット。それらは世界中の子供たちにとってはあくまでも「初見」のモノなのである。つまりは、我々ロートル世代が元祖『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)のコンセプト&フォーマットにいだいた斬新な衝撃のようなものを、世界中の子供たちはこの元祖『パワーレンジャー』にまさに見ていたということなのであろう。

――もちろん初見の衝撃などはすぐに目減りして、元祖『パワーレンジャー』がアメリカで後年に再放送された折りには、記録的な低視聴率であったという話も聞くのだが(爆)。とはいえ、公平を期するためにも云っておくと、後続の『パワーレンジャー』シリーズはグングンと絵的にも内容的にもアクション的にもグレードアップしていきます!――


 それから早くも四半世紀弱!

 老害のオッサンオタクは四半世紀前のことをつい最近のように云うけれど、24年といったら、『ウルトラQ』(66年)〜『ウルトラマンG(グレート)』(90年)までの期間でっせ! 『ウルトラQ』をリアルタイムで観ていた高度経済成長期の60年代のビンボーで鼻垂れな白いランニグシャツを着ていた漫画『花田少年史』(93年・02年に深夜アニメ化)に出てきた子供たちがバブル期に小ギレイなブランド服で着飾ったアラサーに達していたくらいの時間でっせ! というワケで、世界中のかつての子供たちにとっても、本作は携帯電話スマホインターネットもナイ時代の充分に大昔の懐メロ作品に成り果てていることだろう(汗)。


 そんな作品の本格的なリメイクだと聞いて不安になる。リアル・シリアス至上主義で再構築してその結果、エンタメ性には欠けた作品に成り下がるのではないのかと……。

 さらには、事前に人間ドラマ・高校生レギュラーたちの青春ドラマ主導で、映画終盤にならないと彼らはパワーレンジャーには変身しないというマスコミ情報も眼にしてしまう。ウ〜ム、コレではますます、往年のスーパーヒーロー作品をリアルにリブートしたら意外と面白くなかった! という駄目駄目パターンではないのかとも予測する。


 我らが2010年代の日本特撮を支える坂本浩一カントクが運命のイタズラで凱旋帰国せず、海の向こうの『パワーレンジャー』シリーズのカントクどころか、最終的には「製作総指揮」という役職にまで登りつめていた氏が、本映画を監督してみせていたら、アクション主体の快作映画が誕生して、その名前&才能を世界的にも知らしめていたやもしれない!? なぞと思いながら、本作を鑑賞してみた次第。


 あれ〜。そんなにドラマ主導じゃナイような。いやもちろん最低限の人間ドラマはあるのだけれども、そんなにカッタるくはならないなぁ。

 むしろ要所要所で、特撮スペクタクル的な土砂崩れが起きたり、変身ベルトにハメるメダルをひろったり、アクション映画的なカーチェイスがあったり――アメリカでは高校生がフツーにクルマを運転するんだネ(汗)――、田舎町の近所には炭鉱があって、しかもご都合主義にも炭鉱地下水の底で超近代的な太古のヒミツ基地(笑)を発見したり。

 強大な体力は授かるも、最初はパワーレンジャーに変身できなくて、しかしナマ身でも強くなってるから、元祖『仮面ライダー』(71年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140407/p1)#2のごとく蛇口をヒネって壊しても改造人間としての我が身に苦悩することもなく(笑)、学園で珍騒動を引き起こしたり、果ては放課後に岩場でひたすら昭和特撮ヒーロー的な泥クサい特訓(!)を繰り返して、仮想の戦闘員たちとも練習バトルする!

 実はけっこうアクション主導&見せ場主導の作品なので、ヘタに権威主義・ブランド優先でウケているようなアメコミヒーロー映画の凡作よりも、実は退屈させなかったりもする。



スクールカーストを色濃く反映! 自閉症スペクトラム青年もメンバー!


 とはいえ、人間ドラマの部分でも工夫が見られるのはたしかなので、その部分にも言及した方がフェアだろう。

 なんと、本作は日本の近年のライトノベル原作の深夜アニメの学園モノなどと同様、スクール・カーストも射程に入れた作品であったのだ!


 原典の元祖『パワーレンジャー』にも登場した、ティラノレンジャーならぬレッドレンジャーこと白人青年ジェイソン君は、アメフトの選手に再設定。同じく原典にも登場したプテラレンジャーならぬピンクレンジャーこと白人少女のキンバリーは、チアリーダーに再設定。

 スクール・カースト問題の好事家ならば、彼らのこの属性でピンと来るだろう。ご存じの通り、アメリカにおけるスクール・カーストの頂点に立つ男女は、アメフト選手とチアリーダーなのだ(汗)。

 とはいえ、それだけならば、彼らはヘタをすれば弱者の気持ちがわからない悪党(笑)の役回りを、書籍『ハイスクールUSA』(06年・ISBN:4336047480)で扱われるようなイケてない系の青春群像を描いたB級マイナー映画群では与えられてしまうかもしれない。


 しかし実際の作品では、作品冒頭で描かれるレッドレンジャーことジェイソン君はかなりヤンチャなガキで、ウケねらいか冒険心か元気&エネルギーを持て余していて何かしらをヤリ遂げたいのであろう、蛮勇にも夜間に施設だか学校だかに忍び込んで屋内にいる牛を泥棒しようとする(汗)。

 そんな悪事がスーパーヒーロー作品で成功するハズもなく、そこに警察が駆け付けて、狭い田舎町の人たちも知るところとなり、彼は有望なアメフト選手としての将来もアッサリ失って失意のドン底に。

 そして、学園の補習クラスに通うこととなる。しかし、底辺(?)の世界が山本周五郎時代小説『人情裏長屋』的な優しい世界なのかといえば、さにあらず。そこにもカーストがありイジメがある。そこで弱いものイジメにあっていたトリケラレンジャーならぬブルーレンジャーこと、原典ではビン底メガネの白人青年クン、転じて本作では黒人少年クンを、黙って見捨てていることなどできないジェイソン君の心理&行動を描くことによって、彼が単なるイタズラ好きな悪ガキ属性を持つだけではなく、弱者や他人に対しては共感性や義侠心にも篤(あつ)い人物であることも示して、観客の好感度も上げている。


 イジメから助けてもらった恩義からか、このオタッキーな黒人少年クンは妙にジェイソン君を気に入ってまとわりつくも、この微妙に対人関係の微細な空気を読めない感じは、一種の性格類型の「お約束」描写かと思いきや……。

 ここで黒人少年クンは「自分は『自閉症スペクトラム』で、会話の潤滑油としての言葉遊びとか行間とか冗談とかがよく判らなくって、何でも真に受けてしまうのだ(大意)」とカミングアウトする。エエエッッッッッ!!! ソレを云っちゃってイイの!?

 筆者も実は大好物なのだが――不謹慎な物言いでスイマセン(汗)――、そのテの問題にも関心がある方々ならばご存じの通り、90年代中盤以降、LD(学習障害)だのADHD(注意欠陥多動性障害)だのアスペルガー症候群だの――これらの一連を「自閉症スペクトラム」と総称――、従来は親の教育やシツケの不備のせいだとされてきたある種の子供の特異な言動が、実は親による後天的な教育とはまったく無関係で、先天的な要素が複合した結果、起きる発達障害や行為障害であることが、学術的にも明らかになっている。

 そんな知見がついにジャンル作品でも披瀝されてしまいましたとサ!――でもビミョーだよなぁ。こーいう学説は日進月歩だから、10年後20年後には「自閉症スペクトラム」の概念も様変わりしたり細分化したりして古びちゃうんじゃないかとも(汗)――


 マンモスレンジャーならぬブラックレンジャーも黒人青年からアジア系に変更され、加えて彼も高校へロクに通わずに、ヒミツ基地のある鉱山によく出没する、しかして自宅の病弱な母に対しては神妙に気を遣う青年に改変されている。

 タイガーレンジャーならぬイエローレンジャーは原典と同じく少女だけど、アジア系からヒスパニック系へと変更されるも、吹き替え版ではベテラン実力派アイドル声優水樹奈々が男に媚びないサバサバしたボイスで演じていて、転校を繰り返してきた身軽な孤高の変人少女といった塩梅(汗)。


 ウ〜ム、総じて人格的にも境遇的にもやや難アリの落ちこぼれたちなのだが、彼らが訓練をともにする過程で、気心が通じていったり、夜間に焚火にあたって本心や家庭環境に学校生活での愚痴を時に涙も流しつつ吐露して、交情を深めていくシーンはベタベタではあるも、青春していてカナリよい!(笑)

 とはいえ、今を時めく広瀬すずの姉で、特撮マニア的には映画『仮面ライダー×仮面ライダー W(ダブル)&ディケイド MOVIE(ムービー)大戦2010(にせんじゅう)』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101220/p1)の『ディケイド完結編』に登場した、電気人間・仮面ライダーストロンガー(75年)の女相棒・電波人間タックルリブート版を演じた広瀬アリスが、意外にも実にナチュラルな吹き替えを担当していたピンクレンジャーのキンバリーだけ、このカンドーの場面でも本心は明かさない。

 このへんは少々のヒネりがあるネ。まぁキンバリーに関しては、周囲が無関心だったり冷淡だったり自分が不器用だったり考えが足りなかったから……というより、積極的に悪かったりズルかったから仲間たちからハブられたということが明かされて、それもまたリアルかも――もちろんすでに反省・後悔もしているので、同情の余地はあるけれど――。



戦隊司令官は初代戦隊レッド! 戦隊巨大ロボも遂に屹立!


 とはいえ、人間ドラマばかりが凝っているというワケでもなく、一方でヒミツ基地の壁面いっぱいに立体モザイク状の巨大な顔面映像として現れて、壁面の左右を落ち着きなく移動する(笑)戦隊司令官・ゾードンは、原典でのお高く出た「善の化身」ではなく、おそらく顔面の表皮的にも、太古の爬虫類ならぬ爬人類、もとい恐竜人類たち(宇宙人?)が変身した、本作冒頭にも登場した初代パワーレンジャーの初代レッドレンジャーであったと再設定されたあたりは、イイ意味で適度にマニアック化した90年代中盤以降の『五星(ごせい)戦隊ダイレンジャー』(93年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111010/p1)の6000年前の先代五星戦隊や、『星獣戦隊ギンガマン』(98年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110711/p1)における133代目のギンガマンという設定、近年だと『動物戦隊ジュウオウジャー』(16年)における太古の初代ジュウオウジャーの初代ジュウオウホエールこと獣人ケタス大王などにも通じるワクワク感も想起させる。壮大な歴史&因縁も感じさせる適度にオタッキーでマニアックな設定は、まさに後出しリメイクだからこその好き者ファン上がりの作り手たちによる、司令官&戦隊メンバーたちとの距離感や位置感・境遇も若干近くなったり通底したりする、適切なSF伝奇的アレンジで好印象。


 前述した通り、冒頭に太古の時代のマグマ湧き出る夜の闇の中での初代パワーレンジャーたちによる戦闘シーンはあっても、それから終盤までパワーレンジャーが登場しないあたり、幼児が観たらタイクツではないか? という弱点がありはする。よって、子供向け作品としてのモノサシで測ってしまうとビミョーなところはあるのだが、世間一般の娯楽活劇作品のモノサシで測れば、その出来は充分にイイ方ではないかとも思う。

 擁護するなら、原典作品では曽我町子が演じた魔女バンドーラに相当する、本作ではメタリックグリーンの半裸の衣装で身を固めた魔女リタは、序盤の方で早々に復活するや、金や宝石を溶かして収集するような、見た目一発判然の悪事を繰り返すので、その点では子供たちにもビジュアル的にわかりやすいと思う。なお筆者が鑑賞した吹き替え版では、魔女リタをドスの効いたツヤっ気のある姉御ボイスの実力派中堅声優・沢城(さわしろ)みゆき嬢が迫力たっぷりに演じていた。


 ラストで魔女リタと合体した大きな両翼を生やした金色の巨大怪人が、白昼の田舎町で先史時代の動物型戦隊メカ5体と激戦! そしてついに合体した巨大人型ロボ・大獣神ならぬメガゾードとも対決する!

 このへんからイイ意味で、この映画は陽性のアメリカ映画に成り代わる。そこにかかるは、元祖『パワーレンジャー』の「♪ Go! Go! パワーレンジャー」を連呼するだけのシンプルな歌詞&当時でも素朴でオールデイズなロック調の主題歌! やっぱ往年の主題歌投入はそれだけで熱くなってくるので、このへんのベタな演出も実にイイね。

 各機内の異形のコクピットでの操縦シーンもカッコいい。コクピットの中だと、マスクの黒ゴーグル部分がなくなって、役者の顔出しとなるけど、まぁドチラかといえば人間ドラマ重視気味の本作の場合、たしかに顔が見えていた方がドラマシーンと特撮シーンの分断感もウスれるし、役者さんたちもクライマックスで演技している自分の顔を観客たちに見せたいだろうから、この改変も適切な処置かと思う。

 巨大怪人と戦隊巨大ロボの重厚なド付き合いの果てについに勝利! もう最後のアクションは、ヘンにヒネったりはしないのであった(笑)。



 ラストシーンは学園の補習クラスに戻る。顔出し出演はないけれど、補習クラスにトミーという転校生が来るらしいとウワサになる。このトミーとは元祖『パワーレンジャー』をご覧になったことがある方々ならご存じ、6人目の戦士ブライことドラゴンレンジャーならぬグリーンレンジャーに選ばれ、その翌年には『五星戦隊ダイレンジャー』の6人目の戦士・キバレンジャーならぬホワイトレンジャー、そのまた翌年には『超力(ちょうりき)戦隊オーレンジャー』(95年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110926)のオーレッド、そのまた翌年には『激走戦隊カーレンジャー』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110521/p1)のレッドレーサーにも変身する高校生のことである! ……という一見(いちげん)さんお断りネタでオチとなる。まぁイイんじゃないですか(笑)。

 出来れば本家や原典の通りに、パワーレンジャージュウレンジャー)5人と悪に操られたグリーンレンジャー(ドラゴンレンジャー)が戦いの果てに和解する続編映画の実現にも期待したい!


 まぁ5人が拳をギュッと握ったり、円陣組んで中央で伸ばした腕を交差させたり、勝どきを挙げたりしないあたりなどは、ナチュラルな芝居重視でもあり、その一点においては、日本のスーパー戦隊や元祖『パワーレンジャー』ぽくはナイけれど……。正直、元祖『パワーレンジャー』をそのままリメイクしても実にキツい出来になると思うし(笑)、コレは偶然のたまたまのホントウに際どいバランスで、悪い意味でドラマ優先となって退屈にもなりかねなかったリメイク作品が、ギリギリそうはならずに仕上がったケースだとも私見する。とはいえ、そーいう分析チックな見方を除外して云うならば、私情においてはけっこうスキな作品だ。


(了)

(初出・『仮面特攻隊2018年準備号』(17年8月12日発行)所収『パワーレンジャー』完結合評3より抜粋)


『假面特攻隊2018年準備号』「パワーレンジャー」関係記事の縮小コピー収録一覧

東京新聞 2017年7月14日(金)夕刊 パワーレンジャー 日本発の戦隊 迫力アップ(映画レビュー)

夕刊フジ 2017年7月15日(土) シネマパラダイス パワーレンジャー(映画レビュー)

スポーツ報知 2017年3月24日(金) 勝地涼 アリス WBCと同じロスでワールドプレミア出席 侍魂!!海外デビュー(レッド&ピンクの声優を務めた俳優・勝地涼広瀬アリスが、3/22(日本3/23)開催の由緒ある劇場でのプレミア上映でカーペットを練り歩く)



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