鮎茶屋 京の写真家として、一向に芽の出ない竹斎。道を尋ねゆくほどに鳥居本に出でる。ここはいたって賑やかにて、見世物小屋、大道芸人、読売り、講釈師などありて、そして葭簀(よしず)張りの水茶屋あり。 愛宕神社一の鳥居 愛宕神社へかかる道 一の鳥居前にいたり、志んこ団子、田楽を売る茶屋二軒あり。赤前垂れの女、軒に出て…【女】「あなた お休みかいな。志んこ団子あがらんかいな。田楽あがらんかいな。 茶あがってお出んかいな。」【竹斎】「もしもし、わしら愛宕さまへ参詣して帰りに、おめえの所で休みやしょうから、この でけえ三脚をここに置いてくんなせい。」【茶屋】「はいはい、お預かり申しましょわいな。お早ういて…