kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

安心して消費できる社会をつくれ

「金は天下の回りものって言うしなあ」
「そうは言っても将来が不安だから貯めてしまうよなあ」

これは、最近外出先でたまたま耳にした会話だ。会話の主は、中産階級に属すると思われる中高年の男性たち。

中曽根政権時代から小泉・安倍の時代まで長年にわたって築き上げられてきた新自由主義社会は、金持ちが安心して消費できない社会だ。
「頑張った者が報われる社会をつくれ」というのが新自由主義者の合言葉だった。

その結果、金持ちの資産と企業の内部留保と政府の国債残高が積み上がった。

竹中平蔵はもっと企業減税しろというが、そんなことをしたって企業の内部留保がさらに増えるだけだろう。

マスコミは、財政再建のために消費税を上げろと言う。昨夜も古舘伊知郎が、これからもっと消費税の議論をしなければならないと言っていた。朝日新聞の幹部記者が原稿を書いていたのではないかと私は想像している。朝日新聞主筆船橋洋一は、竹中平蔵と仲が良いという。朝日だけでなく、読売新聞も「消費税を上げよ」と叫び続けている。ナベツネは、竹中平蔵とは仲が悪いが、言論活動を通じてずっと所得税の累進性緩和だとか企業減税を訴えてきた人間だ。そしてそんな人間と馬が合って喜んでいるのが城内実である。

もういい加減にしてくれ。支配者たちは、要は貧乏人からさらに金を巻き上げて、階級を固定しようとしているのではないか。これがデヴィッド・ハーヴェイの仮説なのだが、支配者たち及び彼らを支持するアッパークラスの人たちは、意識的にせよ無意識的にせよこの流れに乗っている。私から見ると十分に新自由主義的な民主党政府を、自民党が「(国家)社会主義だ」などと批判するのはその表れだ。

幸い、鳩山政権の支持率下落にもかかわらず、自民党の支持率は一向に上向かない。だまされてあれだけ痛い目に遭えば当然だろう。

自民党は「小さな政府」を標榜して民主党に対抗するつもりらしいが、それではいつまで経っても選挙には勝てず、いずれ自民党は解党に追い込まれるだろう。

昨日、麻生太郎前首相が奈良県十津川村で十津川を「中津川」と言い間違えたことが報じられた*1。麻生前首相は在任中、毎晩豪遊していることが批判された。

だが、金持ちが消費すること自体を批判するのはおかしいのではないか。金持ちが安心して消費できない社会であるのがおかしいのだ。金持ちが安心して消費できなくて金を貯めこむ一方で、大勢のワーキングプアがいる。これは、新自由主義の政治が犯してきた誤りの帰結以外のなにものだというのか。

政府は、安心して消費のできる社会をつくることを目指さなければならない。金持ちのケチは、糾弾されるべき悪徳である。

角さんの天皇観

石川真澄著『人物戦後政治 私の出会った政治家たち』(岩波現代文庫)より引用。

私(注:故石川真澄朝日新聞編集委員)は一つだけ、記事にするわけではないが、と田中氏の天皇観を尋ねた。佐藤栄作氏が私のインタビューに答えて「天皇様がいらっしゃるから、日本という国家の連続性が保たれるのです」と語ったことが念頭にあったからである。田中氏はむしろけげんな顔で言った。「そりゃあ、天皇陛下と皇室を私は敬っておるよ。両陛下の写真を応接間に飾っている。しかし、天皇が象徴天皇であって政治的機能を有しないことくらいは、もちろんわきまえている。戦前とは違う
 佐藤氏との一七年の年齢差はやはり歴然たるものがあった。田中氏は日本国憲法をほとんど疑っていなかったと考えられる。彼は保守党のまぎれもない権力者であり、「日本列島改造論」に代表される開発志向や「通年国会」「小選挙区制」などの自民党にとっての利益を図ろうとする傾向は露骨であった。しかし、国家とか民族をとかく持ち出したがる保守政治家によくある傾向は弱い人であった。その意味では佐藤氏の嫡流でなかったことは確かである。

石川真澄 『人物戦後政治 私の出会った政治家たち』(岩波現代文庫、2009年) 93-94頁)

石川氏が田中角栄に上記のインタビューをしたのは1975年(昭和50年)のことだった。戦前と戦後の連続性を意識する佐藤栄作と、戦前と戦後の断絶を強調する田中角栄の対照が鮮やかだ。


人物戦後政治 私の出会った政治家たち (岩波現代文庫)

人物戦後政治 私の出会った政治家たち (岩波現代文庫)

中国に勝つなら環境技術だ。鳩山由紀夫よ、奮起せよ

素人の考える、沖縄基地不要論(その3 軍事論から。 - 眠り猫の日記 を読みて思う。

右翼と陰謀論者ほど手に負えないものはない。両者は重なり合うけれども、陰謀論者の方が勢力は大きい。左派でも陰謀論者はリアルでは少数派で異端だけれども、ネットでは多数派だ。代表的な教祖は田中宇だとか、それよりはるかに程度は低いけれども植草一秀だ(彼は本当は右派だと私は考えているが)。

右翼の言う、中国が軍事的な脅威だとか、台湾に攻めてくるなどというたわごとは笑止千万。一度台湾の人たちと会話でもしてみれば、それらの俗説がいかにひどいトンデモかはよく理解できるはずだ。

中国にとってもアメリカにとっても何より大事なのは経済問題だ。現在の情勢からして、中国が日本だ台湾だのにとって軍事的な脅威になることはあり得ない。馬鹿げた軍事アクションなんかを起こしたら、中国は国際経済の世界で負け犬になってしまう。

そして日本は、中国ともアメリカとも渡り合わなければならない立場にある。基本的な立場は、親米でも反米でも、そして親中でも反中でもあってはならない。アメリカや中国のような大国に対しては、デフォルトはニュートラル(中立)でなければならない。そして、日本が持っている大きな武器は技術力だ。アメリカにだって勝てると私は思っているけども、特に中国相手であれば勝算は十二分にある。今後、日本政府が環境技術における国際競争に力を入れるなら、必ずや日本復活の道は開ける。

ところが、ネットでは経済右派池田信夫から「ブログ左翼」に至るまで、こぞって「地球温暖化陰謀論」の大合唱だ。反知性ここに極まれりである。こいつらの主張に耳を傾けちゃいけない。それは堕落への第一歩だ。

中国に勝つなら環境技術しかない。かつて、日本の自動車産業がなぜ世界を制したかを思い出せ。

日本には技術力は十分ある。だが、無能な政治がそれを活かせていない。博士号を持つ日本初の本格的な理系総理大臣・鳩山由紀夫よ、奮起せよ。