『世界最速のインディアン』(監督ロジャー・ドナルドソン)上

世界最速のインディアン』(監督ロジャー・ドナルドソン)上

ニュージーランドの老年ライダー、パート・マーロン
 が、ライダーの聖地アメリカのポンヌヴィル塩平原で
 世界最速の記録に挑むという物語。塩平原をぶっちぎ
 るスピードの美しさは予告編でだけでもかなりの迫力
 で、私の期待は半端なものではなかったし、公開され
 たら一刻も早く観に行くと決めていた}
『ネオカル日和』〈著者〉辻村 深月(17)
《2 おおむね本と映画の宝箱》から ◇絶妙の映画体験◇

是非この人と一緒に映画を観たい、という人物

◆◇◆立ち読み・坐り読み◆◇◆

鈴木智彦著『ヤクザと原発 福島第一潜入記』文藝春秋刊☆(5)

▼△序 章 ヤクザの告白「原発はどでかいシノギ」△▼(5)
・田舎の人間は権威に弱い(3)・

●街の人間に嫌われたらヤクザなんてやっていけない

佐藤栄佐久 (著) 『福島原発の真実 』(平凡社新書) ☆(50)

▼△第8章 「日本病」と原発政策(5)△▼
・スケジュールありきの原発政策(その3)・

●フランスは一六年もかけ原発政策を議論し、ドイツはニ〇年も

『ネオカル日和』〈著者〉辻村 深月(17)
《2 おおむね本と映画の宝箱》から ◇絶妙の映画体験◇

是非この人と一緒に映画を観たい、という人物

《「 スマイルBEST 世界最速のインディアン [DVD]Wikipedia:インディアン (オートバイ) ・ 映画が好きであるがゆえに、楽しみにしてい る映画はできるだけ一人観たい。 趣味の合わない誰かと観に行って、自分の感 動にケチをつけられたり、また逆に、相手が 過剰に、はしゃぐのについていけなくなった りするのが嫌だから、というのがその理由だ。 たとえば、本編が終わり、エンドロールを眺 めていると、不意にトントン、肩を叩かれる ようなのが絶対いけない。 私はたいてい、いい映画を観た後で、明るく なった映画館で、相手と目を合わせることが できない。それぐらい、余韻を引きずってし まう。 妙に気恥ずかしいような気持ちになって、第 一声や立ち上がるタイミングに戸惑う。 そして、わがままな私の前にも、それらが絶 妙な相手というのも時折きちんと現れてくれ る。世の中には是非この人と一緒に映画を観 たい、とこちらに思わせる人物も、またいる のだ。 友人Uくんと映画を観に行ったのは、その日 が初めてだった。私は賭けに出た。 『世界最速のインディアン』は、予告編を観 た時から、そのスピード感とカメラワーク、 アンソニー・ホプキンス演じる主人公の立ち 姿のすべてがかっこよかった。 ニュージーランドの老年ライダー、パート・ マーロンが、ライダーの聖地アメリカのポン ヌヴィル塩平原で世界最速の記録に挑むとい う物語。 タイトルにある「インディアン」は、彼の相 棒であるバイク、一九ニ〇年型インディアン ・スカウトのことである。 塩平原をぶっちぎるスピードの美しさは予告 編でだけでもかなりの迫力で、私の期待は半 端なものではなかったし、公開されたら一刻 も早く観に行くと決めていた。飲みの席で一 緒になったUくんと、たまたまその話になっ たのだ。 私たちが選んだ映画館、新宿のテアトルタイ ムズスクエアは、偶然にも実際に撮影で使用 したというバイクが展示されていた。 ・一九ニ〇年型インディアン・スカウト ボディがこすれ、ところどころに戦いの跡が 残ったバイクの周りは大変な人だかりで、私 とUくんはそれを冷ややかに眺めた。 映画は期待しているけど、ああいうのはなぁ、 と二人してかわいげのないことを思う。携帯 電話を片手に写真を撮る彼らを横目に「あれ、 撮ってどうするんだろ」とか「後ろから写真 見ても、きっとその時のテンションなんか忘 れてるよね」とか、悪口を言い合った。 」》
The World's Fastest Indian(予告編)
(lemonsoda1123 さんが 2007/02/11 にアップロード) 【the story of New Zealander Burt Munro who  set the land-speed record at Bonneville  in 1967 by a 1920 motorcycle.  a great, inspiring movie!】 ◎自分がふだん思っていることを、こうもそ っくり書いてもらうと、もう一人の自分がそ こにいるようで、世の中っていいなぁと、無 性に人が恋しくなる。 ましてや、辻村深月さんが、「世の中には是 非この人と一緒に映画を観たい、とこちらに 思わせる人物も、またいるのだ」といって、 その人と一緒に映画館に行ったなんて、こち らも、幸福感に満たされてくる。 (つづく) (Y208-87)

『ネオカル日和』

単行本: 280ページ 出版社: 毎日新聞社 (2011/11/25) 《待望の初エッセイ集! 大好きがいっぱい! 【ネオカルチャー】辻村深月が独断と偏愛で選ぶ日本の 〈今〉を象徴する、おもしろいもの、かわいいもの、お  いしいもの、ヘンなもの、そんなものぜんぶ。  国民的マンガからパワースポットまで、“ネオカル”  の現場を人気ミステリー作家が潜入!辻村深月のマニ  アックなこだわりとキュートでトホホな日常を綴る初  ルポ&エッセイ集》〔表紙帯から〕 〔目次〕 1 ネオカルチャー新発見  (支えは藤子・F・不二雄さんの人格 ドラえもん  レッツ・のう能!のうのう能 ほか)
2 おおむね本と映画の宝箱
 (私をまっすぐ映すものオマージュのための ショートストーリー&エッセイ ほか) 3 四次元の世界へ  (あしたも、ともだち世界で一番好きなラブ ストーリー『パーマン』 ほか) 4 特別収録 ショートショート&短編小説  (彼女のいた場所写真選び ほか) 5 女子とトホホと、そんな日々  (a day in my life 私をハイにする…― ウッカリショッピング ほか) 〔著者〕 ☆辻村 深月(つじむら・みづき)☆ 一九八〇年ニ月ニ十九日生まれ。山梨県出身。千葉大学 教育学部卒業。二〇〇四年に『冷たい校舎の時は止まる』 で第三十一回メフィスト賞を受賞しデビュー。二〇一一 年『ツナグ』で第三十ニ回吉川英治文学新人賞受賞。他 の著作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』 『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』 『名前探しの放課後』『ロードムービー』『ゼロ、ハチ、 ゼロ、ナナ。』(第一四ニ回直木賞候補作)『V.T.R.』 『光待つ場所へ』(以上、講談社)、『ふちなしのかが み』『本日は大安なり』(以上、角川書店)、『オーダ ーメイド殺人クラブ』(集英社)『太陽の坐る場所』 『水底フェスタ』(以上、文藝春秋)など多数。新作の 度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者 からの熱い支持を得ています。

『ネオカル日和』〈著者〉辻村 深月(17)

◆◇◆立ち読み・坐り読み◆◇◆

鈴木智彦著『ヤクザと原発 福島第一潜入記』文藝春秋刊☆(5)

《「原発はタブーの宝庫。だからオレらが儲かる!」   某地方の暴力団組長   −暴力団専門ライターが実際に動いたからこそ    書ける原発という巨大なシノギ−  「原発は儲かる。どでかいシノギだな。電力会社と交渉して、   ゼネコンと話付けて、地元の土建屋に仕事を振る。代紋な   しではとても捌ききれん。原発はタブーの宝庫。裏社会の   俺たちには、打ち出の小槌となるんだよ」。ヤクザが語る   衝撃の事実。日本最大のタブーがいま明かされる!   ―誰も書けなかった 命懸けの衝撃ノンフィクション―》   【表紙帯から】 
▼△序 章 ヤクザの告白「原発はどでかいシノギ」△▼(5)
・田舎の人間は権威に弱い(3)・

●街の人間に嫌われたらヤクザなんてやっていけない

《「――俺たちは街のため、みんなのため、地元が少しでも多くの金 が取れるよう努力する。それをちゃんと地元に還元する。街の人間に 嫌われたらヤクザなんてやっていけない。 地元密着の人気商売だから、みんなで儲けてハッピーにならないと生 きていけない。きっちりそれを有言実行してるかから、警察だって見 て見ぬふりをしてくれる。それに警察だって、ほとんど俺らの幼なじ みだよ。あいつらも仕事だ。上からヤクザを取り締まれと言われたら 逆らえない。 だからメンツは立ててやる。共存共栄。だからこうして、祭りの時に はみんなが挨拶してくれるわけだ。カタギさんを大事にしないとヤク ザは生き残れない。 暴対法みたいなもんができたらなおさらだろう。カタギの生き血を啜 るような暴力団は消える。俺たちにとっても大歓迎だ」 Wikipedia:暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法) 表面上、親分は頼もしい街の顔役にみえた。地域密着に関しては仰せ の通りだ。が、何年も暴力団取材をしていれば、言葉のすべてを額面 通り受け取るウブさは消えている。 慕われているのか、怖がられているのか、その両方か、割合の判別は ある程度できる。 どんな暴力団であれ、彼らの存在価値が暴力であるという前提は変わ らない。程度の差こそあれ、恐怖で他人を支配し、コントロールする のは、暴力派だろうと穏健派だろうと同じだ。 流行のエコカーだって有毒ガスをまき散らす。程度が少ないというだ けで毒は毒である。 ――》 ヤクザと原発 福島第一潜入記文藝春秋 (2011/12/15) ・〈目次〉・ 序 章 ヤクザの告白「原発はどでかいシノギ」 第1章 私はなぜ原発作業員となったのか 第2章 放射能vs.暴力団専門ライター 第3章 フクシマ50が明かす「3・11」の死闘 第4章 ついに潜入!1Fという修羅場 第5章 原発稼業の懲りない面々 終 章 「ヤクザと原発」の落とし前 ・「シノギ(しのぎ)- 日本語俗語辞書」・ ◎暴対法によって、禁止される行為には、 (1) 口止め料を要求する行為 (2) 寄付金や賛助金等を要求する行為 (3)下請参入等を要求する行為 (4)縄張り内の営業者に対して「みかじめ料」を要求する行為 等など、実に具体的に記述されています。 ところで、気になる記事を見ました。震災から間もなく1年、東日本 大震災の被災地3県で、雇用ミスマッチが起きているというのです。 「求人を出しても人が集まらない」。事業者は人手不足に苦しみ、復 興事業にも支障を来しています。また、復興事業を担う土木建 設分野においても、人手不足から人件費が上昇。「特需」による資材 費高騰もあって、事業費が抑えられている公共工事を業者が、「赤字 になる」と敬遠し、自治体の入札が不成立となるケースが相次いでい るそうです。ひそかに、ニンマリしている向きも。 /////////////////////////////////////////////////////////////
◆◇◆立ち読みのはしご◆◇◆

佐藤栄佐久 (著) 『福島原発の真実 』(平凡社新書) ☆(50)

《嘘と欺瞞のメルトダウン。すべての議論はここから始まる!  国が操る「原発全体主義政策」の病根を知り尽くした  前知事がそのすべてを告発》【表紙帯から】
▼△第8章 「日本病」と原発政策(5)△▼
・スケジュールありきの原発政策(その3)・

●フランスは一六年もかけ原発政策を議論し、ドイツはニ〇年も

《「――一真っ先に反論してきたのは児嶋眞平福井大学学長だ。福井 県の「もんじゅ安定性調査検討専門委員会委員長」などを務め、高速 増殖炉計画の旗振り役である。 「私はこれ以上の議論は難しい。有り得ないと思っております。(原 子力委員会は)二〇〇人以上の傍聴者、メデイアの方々がたくさんご 参加されて伝えられているのですから、国民に対して、情報はもう十 分に公開されていると思います」 そして児嶋氏は、藤(洋作関西電力社長)氏をこう擁護した。 「原子力政策を議論する場に、原子力政策に関係している者の代表も 参加して当然であると思っております。たまたま大変な不幸な事故、 美浜の3号機で重大な事故が起こりましたけれども、(藤氏は)実に 一生懸命。誠実に、先頭に立って安全の確保に努力されているですか ら、まったく問題ないと考えております」 私は議論の拙速をこう批判した。 「なぜ、フランスは一六年もかけて原発政策を議論しているのか、ド イツはニ〇年もかけて議論しているのか。三〜四回、四〜五ヶ月でこ ういう結論が出ることが早いのか遅いのかということです。 私にとって一番大切なのは、福島で万が一放射能漏れでもあったら、 会津も含め、全部農作物も売れなくなるのですから。国民の目から見 てどうか、という良識で判断しなければいけない」 ――》 福島原発の真実 (平凡社新書)平凡社 (2011/6/23) ◎国立大学の学長も地に落ちたものです。誰かを擁護するのに、「仕 事を一生懸命、誠実に、やっている」から、いいのだという論拠は、 幼稚すぎて中学生でも使いません。買収されている臭いが、ぷんぷん。

≪都会歳時記≫

[都市・現代の視座1000句]句集 古家 元「文學の森」刊]
〔春〕時候  啓蟄の始発電車が身震ひす
http://shop.bungak.com/products/detail.php?product_id=143

≫平成万葉集

読売新聞社 (編集)、「万葉のこころを未来へ」推進委員会 (編集)
深呼吸冬の香りを感じたらなぜか切ない気持ちになった
柳川愛実(15歳)神奈川県

◆◇◆悪魔の辞典より◆◇◆

アンブローズ ビアス (著)、Ambrose Bierce (原著)、 西川 正身 (翻訳)
七面鳥(turkey n.)
大きな鳥で、その肉は、宗教に関係のある一定の 例祭のさいに食べると、敬虔と感謝のしるしにな るという一風変わった特性を持つ。ついでながら、 食べてもみると、これでなかなか乙な味がする。 新編 悪魔の辞典 (岩波文庫)

☆★☆言えそうで言えない英会話表現☆★☆

いつだって次があるさ。
There's always next time.
<NHKラジオ 「英語5分間トレーニング」岩村圭南 講師>

◎◆◎アートのたのしみ《英国篇》◎◆

ローレンス・アルマ=タデマ“彫刻陳列室”
(1867年・モントリオール美術館) ◎時代は、アウグストゥス帝(在位: 前27-後14)の 時代の、ローマにある彫刻陳列室という設定。人々が 見上げいるのは、ギリシャの悲劇作家ソフォクレスの ブロンズ像で、1939年、テッラチーナで発掘され、現 在ヴァチカンに所蔵されているものです。背景には、 ヴァチカンにあるラオコーン像と、右側で横顔を見せ ているのは、カトリピーノ美術館所蔵のアグリッピナ (皇帝ネロの母 悪女で有名)の坐像。 ◇ローレンス・アルマ=タデマ (Lawrence Alma-Tadema, 1836年1月8日 - 1912年6月25日) イギリス、ビクトリア朝時代の画家、ラファエル前派。 オランダ、 ドゥロンレイプ生まれ。1852年、アントワープの美術アカデミーに 入学。1863年、新婚旅行でポンペイへ旅行し、これを機にエジプト、 ギリシア、ローマの古代世界に関心をもつようになります。パリに 移住したのち、普仏戦争を逃れて1870年にロンドンへ渡り、73年に イギリスに帰化。1879年にはロイヤルアカデミー正会員。
Lawrence Alma-Tadema(フォト・ギャラリー)
(Accabadora さんが 2008/04/27 にアップロード) 【Music: Nuvole di Luce (Roberto Cacciapaglia)】