須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

ご案内

◎『北方ジャーナル』2024年2月号発売中。
http://hoppojournal.sapolog.com/e499741.html

〇スガの連載「よいどれブンガク夜話」第169夜は菅野昭正編『澁澤龍彥の記憶』その3――「覚悟がないとこんな姿はとれるものではない(酒井忠康)」です。2017年に世田谷文学館で行われた講演や、近親者、友人達の回想などを元にしたとりとめのない小散歩です。挿絵は笹木桃氏。雑誌表紙絵は鈴木翁二氏。


〇『北方ジャーナル』2024年2月号。蘇我すが子さんの連載エッセイ「古本屋女房の古本的日常」第121回は「当たるも八卦、当らぬも八卦ヨイ」であります。山岸凉子北村薫の作品など、予言にまつわるお話についてちょこっと書いてます。
『北方ジャーナル』はセイコーマートに置かれています。Amazonでも購入できます。

「さまよえる古本屋」紹介頂いております。

○御厚情多謝。
☆『図書新聞』に内堀弘さんが連載中のコラム「古書肆の眼」にて、拙著「さまよえる古本屋ーもしくは古本屋症候群」(燃焼社)の収録作「あゝ、雑巾先生」が紹介されました。http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/week_description.php?shinbunno=3223&syosekino=8656
☆『朝日新聞』北海道版の「BOOKほっかいどう」。
http://www.asahi.com/area/hokkaido/articles/MTW20150611010860001.html
☆『小説すばる』6月号の連載コラム「荻原魚雷の古書古書話」で拙著2冊、『さまよえる古本屋ーーもしくは古本屋症候群』と『貧乏暇ありーー札幌古本屋日記』が紹介されました。(2015/5/17)
紀田順一郎さんのサイト。
http://plus.harenet.ne.jp/~kida/topcontents/news/2015/040501/index.html
林哲夫さんのブログ。
http://sumus2013.exblog.jp/23885551/
岡崎武志さんのブログ。
http://d.hatena.ne.jp/okatake/20150429
☆草木堂書店の横田盛夫さんが北九州古書組合サイトのコラムで。
http://seesaawiki.jp/kosyokitakyu/d/%B8%C5%CB%DC%B2%B0%C3%F8%A4%CE%BF%B7%B4%A9%CB%DC

水曜 交換会と訃報

 午前6時過ぎ就寝。8時45分起床。トースト2枚、バナナ1、カフェオレにて第一食。9時27分、萌黄さんの車に同乗(自分が7分遅刻)。薫風さんは例によって休みだが、息災なりしや。

 車中、1月後半から2月末までの苦しい日々について話す。〈セブンイレブン〉のコーヒー御馳走になる。10時前セリ会場の頓宮神社着。駐車場はすでにいっぱい。『北方ジャーナル』配る。アダノンキさんからチラシ頂く。文学フリマ札幌へのお誘い。7/23の由。じゃんくまうす太田さんと恒例お参り。階段を駆け足で降りている時に太田さん足をつる。トイレに入ると某君が小用足しながらスマホに見入っている。器用なものだなあと感心するが、スマホはたまに除菌しているのだろうか。

 品物は吉成君出品の一口もの、純文、SF、ミステリーなど文芸もの、COMなど、漫画雑誌、建築関係、小樽岩田さん出品の仏語洋書の山など。今日買った人は儲かる。じゃんくさんが落札できなかった文芸雑誌の山も『幻想文学』も6冊ぐらいだか入っており、面白いものだった。ふくろうさんが休みのため、久しぶりに通常市で発声係のピンチヒッターをやる。あっさり、おっとり、ねっとり、ちゃっかり、うっとり、さっぱり、がっかり、と様々な古書店主の顔というか生態が見られるが、1月2月の苦痛の日々を思うと、やっぱりこの場にいられると嬉しいし、楽しいし、ホッとする。最終台の建築関係はいい値段になった。安く買ってやろうというスケベ心のない、思い切った気持のいい札。古本屋の入札姿勢はこうでなければ、と感服もし、勉強にもなる。ただ、この人の札のクセはちょっと掴んだように思う。でも、この数年、いや十数年か、ほとんど入札をしない自分にはこの観察が役に立つ日は来ないと思うけれど。

 セリ終了後、萌黄さんから声がかかり、Dさん出品のボーになった歌集の口から思いかけず『並木凡平全歌集』を頂く。ありがたし。今日来てヨカッタ。萌黄さん落札品の中に浜田省吾の初期のLPがあり、台車で運搬のお手伝い中、エレベターの中で「路地裏の少年」スガ・ヴァージョンを披露。

 午後1時半帰宅。うどん、ナットウ、トースト1、ミニ餡パン1、バナナ1、カフェオレ、ジュース。5時、トースト1、ミニ餡パン1、バナナ1、カフェオレ、紅茶。確定申告計算。8時半、NHK第二「カルチャーラジオ」でマイルス・デヴィス。ベースがマーカス・ミラー時代について。

 プラゴミ投げ。MS入口敷石上の犬メルドに困惑とユーウツ。本日の気温−3・1〜11・0℃。日中は晴。午前1時、蒸し鶏肉、蒸しモヤシと水菜、フカヒレ、蒸しジャガとタマネギ、胡麻食パントースト1、クリームチーズ、熱燗一合、ウィスキーお湯割3杯。

 妻から札幌在住のジャズピアニスト福居良さんの訃報を聞く。夕方に行った歯科医院待合室で見た道新に記事が載っていたと云う。ネット検索してみると15日午後1時前に亡くなっていたと知る。悪性リンパ腫で入院されていた由。67歳という没年は最近他界が伝えられるジャズミュージシャンの中ではずいぶん若い。知人の知人として酒席で(いつも薫風書林佐々木君同席)何度かお会いしただけだが(福居さんには記憶されていなかったと思うけれど)残念なり。オリジナル曲の「メロウドリーム」が好きで、75年に入試で上京した際、渋谷のジャズ喫茶〈音楽館〉でアルバム『メロウドリーム』をリクエストした覚えがある。70年代後半のある年の瀬に東京から伊達に帰郷する前に札幌在住の友人川南宅に遊びに来ていた折、たしかクリスマスの夜だったが、札幌のジャズ喫茶〈ニカ〉で福居良トリオを観た筈だ。82年から札幌に住み、86年に古本屋を開いた後も、自分の知人のOさんが福居さんと昵懇となったことが縁で何度か演奏を聴く機会に恵まれた。薫風佐々木君と一緒にホールで観たコンサートやご自分のお店〈SLOWBOAT〉でのピアノや、三吉神社座敷での「日本酒の会」(という集いが酒屋さんの主催で20数年前ぐらいにあった)でのアコーディオンの演奏などどれもヨカッタのだが、自分としては、ススキノの何処かのビルにあった飲み屋で突然始まった福居さんのピアノ、名前をいま思い出せないが当時在札していた(後に東京に移り実力を知られるようになったのではなかったか)外国人のドラム、元ベーカーショップブギーのボーカルの人(?)が「スタンド・バイ・ミー」を歌った夜のノリノリの楽しい雰囲気が印象深く懐かしい。数年前にAM ラジオで放送していた毎週日曜夜10時ぐらいからの番組「福居良のメロウドリーム」で声を聞き、お元気そうで何よりと思っていたのだが……。惜しい。そしてやはりちょっとサミシイ。

 午前3時半就寝。
 

金曜  キビシイ年

 午後2時前起床。3時現在、晴、−4・8℃、室温9℃。さすがにストーブを作動させる。2004年に購入、一袋残っていた期限が2007年の市販薬を服用。特に異常なし。

 ○○地方の某氏からFAXあり。彼の地のテレビ番組で全国の即席麺を紹介する企画があり、ラーメン評論家2人がベスト1に「利尻昆布ラーメン」を挙げ、試食したスタジオのタレントも皆美味しいと感嘆しているのを観て、ご自身も一度試してみたく思ったが、貴兄は御存知のラーメンなりや?近場では売っていないのですが、という内容。どう解釈すべきなのか。どうかひとつ買って送ってくれまいかと無心されているように読めるのだけれど、やはりこの理解でいいのだろうか。近くのスーパーの売場で見た覚えはないのでネット検索してみると、Amazonなどでも売られており、2ヶ600円ほどというのが一番お手頃の量と価格のようだが、送料が1300円ぐらいもかかるようで、その日の米にもこと欠き、ストーブも一日1時間も着けないようにして室温10℃で過ごしている我が家にはとても無理だ!と思った。

 4時、うどん、ナットウ、冷水、トースト2、バナナ1、アセロラジュース、きな粉ショウガ蜜入りホットミルク、カフェオレ、紅茶にて第一食。一昨年末に妻の友人奈良の植松さんが送ってくれた茨城県ひたちなか市株式会社幸田商店の「黒ごまアーモンドきなこ」(ショウガ蜜も植松さんからの差し入れなのだが)を使いきる。いつかまた巡り逢いたい食べ物なり。

 5時過ぎ、P社のT氏から電話あり、19日火曜からの「開始」となる。ああ、かつて同じ○○○ったIさんは今度で○○目の○○○○○にノミネートされているというのになあ。

 なちぐろ堂大西君から新年会の出欠確認のメールが来ていたので返信を出す。〈大西さま /おめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。新年会は、欠席します。/年末のチカホ古本市手伝いで、伊藤専務理事から「今度の新年会、料理いいからさ、出てよ」と勧められており、その気でいたのですが、用事が入ってしまい、参加できなくなりました。残念です。/午前のセリの方は行く予定ですが、確実に行けるかどうかわかりません。最近は『北方ジャーナル』を配達に行くのが、主たる目的になってしまっている有様です。家が狭いので、たまるとけっこう嵩張りますから。/今年は商売も書く方もいろいろキビシイ年になりそうです。/それでは。〉

 長野県軽井沢町国道18号碓氷バイパスでバス事故。運転手ほか14人死亡。スキーツアーのバスで若者が多いらしい。何年か前にも多数が死亡したバス事故があって小泉政権時代の規制緩和が大元の原因だったが。SMAP独立騒ぎの記事もネットで読む。妻によるとメリー喜多川というのはジャニーズ事務所の女帝みたいな人だと云う。

 二十年ぐらい使っており消耗が激しい灯油ストーブの自動クリーニングをする。なんとか今シーズン保って欲しいもの。本日の気温、−8・8℃〜−4・3℃。

 11時、「ワールドロックナウ」はデヴィッド・ボウイー新譜「★(ブラックスター)」紹介兼追悼特集。古本入力、〈日本の古本屋〉3点UP。午前1時、焼きニシン、カニカマとリーフレタス入り茶碗蒸し、ボイルソーセージ、蒸しモヤシとリーフレタス、ウィスキー・ニッカバレルお湯割り3、温麦茶。書見少。小沼丹随筆。午前4時半、5時就寝。

木曜 大通往復に地震

 午前8時10分目覚め、8時半起床。トースト2、バナナ1、アセロラジュース、カフェオレ、温麦茶にて第一食。

 9時35分出。くるぶし以上の積雪。小走りで南平岸駅、地下鉄で大通、10時8分にP社着。一昨日と同じ30前後のなかなかキレイな女性Iさんが応対、鼻前庭検査をされ、検便キットの説明を受ける。「一気にドカッと降りましたね」と話題提供されるが、家のカーテンはずっと閉めているので、昨日までの積雪量のことも確とはわからず、「はぁ」としか応えられない。20分ほどで面談終了。

 地下歩行空間に降りるとちょうど「チカホブックマルシェ古本市」のメンバー、ケルン夫人、ばれろん、トロニカの面々が台や棚にかけていたブルーシートをはずし始めて、開店準備の最中。皆さん、働き者の仕事熱心で充実した古本屋人生を送られているようで羨ましい。

 南平岸Maxvalu〉にてATMから1万2千円おろし、ジャガイモ北あかり2袋、ナットウ、モヤシ2、もめん豆富、玉子、うどん2、温情1合P1、計839円購入。〈セブンイレブン〉でNTT3848円払い込み、ATMに8千円入金。

 1時前帰宅。MS入口前で雪を帚で掃いていた管理人さんに「大きな地震がありましたね」と声をかけられ、数日前の青森の話かと思う。未明3時過ぎにプラゴミを捨てに出た折りに風防の中に落とされていた犬の小メルドがまだそのまま放置状態なので、指差して管理人さんに教える。部屋へ入ると、妻から30分ほど前に地震があったと聞かされ驚く。ちょうど外を歩いていた時で気がつかなかったらしい。震源は浦河で震度5、石狩や札幌の北区は震度4、わが家も相当揺れて、妻がPC側の本の山は両手で押さえたが、机の上の文庫が崩れた由。2011年3月以来の大きな揺れであったようだが被害は意外に少なく安堵する。『北方ジャーナル』2月号が来ており、萌黄さんにメール、配布用に10冊袋詰めする。

 午後5時、うどん、ナットウ、白湯、トースト2、バナナ1、きな粉生姜蜜温牛乳、カフェオレ、チョコレート1粒にて第二食。本日の気温、−5・3℃〜−0・4℃。

 午前1時、チクワ湯豆富、焼きニシン、蒸しモヤシ、蒸し玉子、餅3ヶ入り雑煮、熱燗1、温麦茶。某雑誌の先月号から掲載始まり、今月号でも相変わらず説明ゼリフの連続に終始する小説とやらはいつまで続く(続けさせる)のだろうか。かつて「やめない?どうもフラットなんだよね。早くやめようよ」と何度も云われてツライ思いをした身にはちょっと気になるところなり。極貧古本屋の自分と違って、定年前の作者はちゃんとした社会的地位のあったらしい人なので、「退屈ですから打ち切りましょう」とは云われないのだろうな。書見少。午前3時就寝。

土曜 国勢調査

 インターネットにて国勢調査回答を済ます。「インターネット回答の利用者情報」には「*この利用者情報は、配布された世帯でのみご使用ください。また、第三者には渡らないように取扱いなどには十分ご注意ください。*本紙は、セキュリティ確保のため、原則、再発行いたしません。」とあるのであるが、この「利用者情報」ほかが入っていた封筒は封をしないまま新聞受けに入れてあったのであり、その上、「利用者情報」には調査対象者IDに初期パスワードまで記されており不用心、こんなんで大丈夫なのだろうか、といささか不安。

木曜 涼しくて断酒

 午後3時半起床。昨日に続いて涼。少し涼し過ぎるぐらいだが過ごしやすくてよろしい。4時頃、厠にいた時に電話あり。十二回ほど鳴って切れる。Pig社かと推測。ホットミルク、アセロラ飲料、冷水。

 5時半、うどん、冷水、食パン1、モンデールのエクレア1、カフェオレ、紅茶にて第一食。8時半、ラジオ第二で「カルチャー・ラジオ/ボブ・ディランの世界を読む」。

 11時過ぎ、妻帰宅。妻友人ヤンマさんより缶ビール4本頂く。零時前、鶏唐揚げ、ポテトフライ、サケ塩焼き、漬物、ワカメみそ汁、米飯、麦茶、モンデール・シュークリーム1、カフェオレにて第二食。 本日の気温18・6〜22・1℃。

 零時、FMで今年の春頃やっていた「夜のプレイリスト/私の人生と共に在った5枚の「イチ押し」アルバム」内田春菊篇の再放送。紹介したのは笠井紀美子「バタフライ」。ハービー・ハンコックと共演した一枚。一応ご自分も田舎(故郷?)でジャズのクラブ歌手をやってたという話だが、同業者のように笠井紀美子の発声法が苦しそうだなどと批評するところがスゴイ。なぜ内田春菊の週が再放送になるのか理解し難し。自分としては内田春菊よりも第1週目のロバート・キャンベル教授のお話の方がはるかによかったがなあ。ディレクターとか番組関係者に仲のいい人がいるのだろうか。これは8月半ばに放送された「真夏の夜の偉人たち/フレディ・マーキュリー」を担当した柴門ふみについても感じたことであるが。三年前と二年前に同じ番組でS&G とポール・サイモンについてそれぞれ約2時間語った時には、さすがにすごく詳しく、ラジオに出て来て話すにふさわしい人選と思ったが、クイーンやフレディ・マーキュリーについては柴門ふみは精通しておらず、後から本や映像見て勉強して仕入れたような話に終始し、リアルタイムで摂取してきた様子、40年以来現場でファンやってきましたという感じがまったく伝わって来なかったのである。そういえば、正月にやっていた「真冬の夜の偉人たち」で内田春菊が担当の「女を描いた安井かずみ」というのも聴いていて、違和感があったのである。「ほお、安井かずみのファンなのか」と思い込んで聴き始めたら、詳しいという訳ではまったくなく、こんなに好きだという熱意も微塵も伝わって来ず、いったい選曲もご自分でやったか疑問に思える、渡されたばかりの台本読み上げてるようなたどたどしい曲名紹介の後、安井の人生や歌詞が書かれた時代や流行風俗への言及もほとんどなく、安井の歌詞に関する単なる思いつきにしか思えない的の外れた感想を述べるだけで最後まで通し、安井かずみについての特別な知見というか、情報の全然ない二時間なのであった。受ける方はお金になるから当然引き受けるだろうが、依頼する方は何を考えての、狙ってのことだったのか、ちいとも分からんかったのであった。やはり、依頼する方とされる方とが仲良しのオトモダチ同士だけ、ということのなのか。

 やや寒気あり、腹具合悪し。体調のせいではないが原稿進まず。断酒。不快噛み締めながら家賃9月分62557円振り込み。午前9時半就寝。