「耽美」(メモ)

Margaret Boyle “Danmei(耽美): Girls who like boys who like boys” that's Shanghai March 2012, p.19


日本語の「ボーイズラブ*1、”books, poetry and comics featuring man-on-man romance written by girls, for girls”は中国語では「耽美」という。日本でも以前は〈お耽美系〉というのがあったのでは? 「耽美」は1990年代後半に日本から中国に導入された。当局の弾圧にも拘わらず、「腐女」(rotten girls)を自称するハードコアなファンは生き残っており、「耽美」は薄められたかたちでメインストリームのサイトにも進出しているという*2。何故「耽美」なのか;


(…) Danmei enthusiasts agree that they enjoy belonging to a quirky, tight-knit community and having secret online identities that grant them freedom of imagination. They say reading about idealized men is also less threatening, because there aren't women to compare themselves with. One fan said that love between two equals― already a comment on sexual inequality in China-- is more “pure” and makes for a better story.
It's common for Danmei characters to be androgynous, with big eyes and long flowing hair. There's clearly a preference for a world without strict rules about gender. The search for a definitive answer has spawned many a Asian gender studies dissertation about “gender resistance” and escaping “the objectification of women through the male gaze.” But the top response when talking with fans directly is that they simply love the stories.

Chinese Literature @ TimeOut

Sam Gaskin & Charlotte Middlehurst “Fully booked” TimeOut Shanghai March 2012, pp.8-12


TimeOut Shanghai3月号の特集は中国文学。ここで”most exciting writers in China today”として挙げられているのは、


阿乙(36歳)(p.9)
http://baike.baidu.com/view/4930192.htm

陳希我(49歳)(p.10)
http://baike.baidu.com/view/1539257.htm
http://blog.sina.com.cn/chenxiwo

盛可以(38歳)(p.11)
http://baike.baidu.com/view/294724.htm
http://blog.sina.com.cn/daodesong

王暁方(49歳)(p.12)
http://baike.baidu.com/view/1226268.htm
Tania Branigan “Wang Xiaofang exposes world of Chinese bureaucracy” http://www.guardian.co.uk/books/2011/feb/25/wang-xiaofang-exposes-chinese-bureaucracy


勿論、安妮宝貝*1、韓寒*2、余華*3への言及もあり(p.12)。

「風の自転車」など

淡雪

淡雪

遊佐未森『淡雪』*1。オープニングの、仙台を歌った「欅〜光りの射す道で〜」を初めとしてどの曲もよい。しかし、11曲目の「風の自転車」に勝るものはないと思った。というか、この曲はメロディにしても、ビートにしても、歌詞にしても、〈遊佐未森〉的なるものが凝縮されているように感じたのだ。


駆けてゆく 君の街へ 風の自転車
思いをのせて
どこまでも 続く道に 名もない花が
咲いていたよ

うれしい日も 悲しい日も 風の自転車
会いに行きたい
漕いでゆく ベルの音が 君のこころに
届くように
また、これは〈ちゃりんこの歌〉としては大貫妙子「会いたい気持ち」、つじあやの「風になる」*2と並ぶものであるな。
シューティング・スター・イン・ザ・ブルー・スカイ

シューティング・スター・イン・ザ・ブルー・スカイ

素直な気持ち

素直な気持ち

恋恋風歌 (CCCD)

恋恋風歌 (CCCD)

7曲目の「いつでも夢を」は吉永小百合橋幸夫の1962年のヒット曲(作詞:佐伯孝夫、作曲:吉田正)。最後のヴァースの、

はかない涙を うれしい涙に
あの娘はかえる 歌声で
と「欅〜光りの射す道で〜」の後半部分、

いつか わたしも 青くそよぐ ケヤキの木のように
誰かのために しなやかな歌を 届けたい


明日の空に 歌うよ
どんなに 風が吹いても
光りの射す道で


明日の空に 歌うよ
希望をのせて 歌うよ
光りの射す道で


明日の空に 歌うよ
どんなに 風が吹いても
光りの射す道で
また 歩きだす

は照応しているといえる。
ところで、5曲目の「カラフル!」は原恵一のアニメ『カラフル』*3とは関係ないのね。
カラフル [DVD]

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『当代中国的啓蒙與反啓蒙』など

買った本。

許紀霖*1『当代中国的啓蒙與反啓蒙』*2社会科学文献出版社、2011


上編 啓蒙的分化與挑戦

第一章 1978年以来的啓蒙與内部分化
第二章 当代中国啓蒙的内在緊張
第三章 1990年代自由主義與新左派論戦
第四章 啓蒙如何起死回生?


下編 反啓蒙思潮批判
第五章 1990年代中国的反西方主義
第六章 近十年中国的歴史主義思潮
第七章 走向国家祭台的虚無主義
第八章 進入21世紀以来的国家主義思潮


編後記

陸一『教養與文明 日本通識教育小史』生活・読書・新知三聯書店、2012



概念梳理


第一章 吉田松陰的精英教育(1830年左右)
第二章 明治的教育強国路(約1869―1900)
第三章 旧制高校的栄光
第四章 浪漫的大正教養主義(約1900―1930)
第五章 手把手指導重建(約1945―1955)
第六章 艱難的探索跋渉(約1955―1990)
第七章 改革斜陽(約1990―2000)



参考文献

趙京華*3『転向記』中央編訳出版社、2011


知識左翼眼中的日本

従東京審判到普遍正義
文本解読的政治
多重解読的可能性
”犠牲的邏輯”與靖国問題的核心
史記憶與判断的責任
反思”脱亜入欧”的文明史観
記憶的政治学


文学、歴史、地縁政治

世紀之交日本中国文学研究述評
文学者魯迅與革命人魯迅
日本中国学的革命想象與実証方法
殖民歴史的叙述與文化政治
民族国家與現代文学
民間文学的現代性起源
地域化背景下文学批評的政治
従国会”決議”案看日本国民的戦争観
観察中日関係的闊大眼光
国家與戦争的文学隠喩
道徳重建與凡人的修養
東京審判與東亜戦後体制


翻訳與文化溝通
従”起源”上顛覆文学的現代性
”無方法”的方法
現代日本知識考古学
大出版社與文化普及
国家、戦争與個人的命運
資本主義国度中的左翼理論家


附:訪談

左爾格、尾崎秀実”国際間諜案”中的無産階級国際主義――答上海電視台《大間諜》摂制組編導朱晴問


後記
鳴謝

また、村治佳織『プレリュード』とポール・マッカートニーKisses on the Bottom*4

プレリュード

プレリュード

Kisses on the Bottom

Kisses on the Bottom

それから、グレイス・ペイリー『人生のちょっとした煩い』*5村上春樹訳)を読了。
人生のちょっとした煩い (文春文庫)

人生のちょっとした煩い (文春文庫)

たしかに「話題がTVや新聞、コミック誌に限定された人に」「魅力を感じ」ないけれど

蒲生トシヒロ「井出くんが聴くべき10枚の音楽アルバム」http://www.dakiny.com/archives/music/listen-to-10-albums/


曰く、


音楽をいくらたくさん聴いても音楽業界にいるでもない限り、お金に替わったり出世できたりするわけではない。だがそれは目の前を見ているだけだからそう思うだけなのだ。

若いうちは自分の能力だけで仕事ができる。でもある年齢に達したり、あるポジションになって自分の力の限界を感じたとき、人脈というものが必要になってくる。
その時、コミュニケーションに役立つのが、自然に身についてきた趣味や教養なのだ。


話題がTVや新聞、コミック誌に限定された人に君は魅力を感じるか?


僕も50代であるが、周囲でシルバーエイジで活躍してる人たちは、例外なく趣味や教養がゆたかでユニークな人たちが多い。
一見仕事に結びつかない音楽鑑賞や映画鑑賞は結果的に、人格形成や人脈作りには大きな武器になっており、社会人を長く続ける上で必要なものになってくるのだ。
40歳から教養を深めるなんてなかなかできやしない。若いうちに身につけておくことが好ましい。

「人格形成や人脈作り」の「大きな武器」にするぞと力んでいる時点で既に負け*1。折角「教養」を身につけたとしても、それに対するリアクションは、お勉強がんばりましたねと頭を撫で撫でされるか、もっとお勉強しましょうと叱られるか、だろう。
蒲生氏が挙げているリストについてはとくにコメントはせず。勿論ケイト・ブッシュもピンク・フロイドもキング・クリムゾンも無視されていることについては許し難いとは思うけれど、これは歴史認識や趣味の差異に関わることであって、いきり立っても仕方がないことなのだ。

「ベンツ」と「BMW」の差異

島崎今日子、上野千鶴子「規格外の女たち」『scripta』(紀伊國屋書店)22、pp.40-51


島崎今日子『〈わたし〉を生きる――女たちの肖像』を巡って。


上野 (前略)これは業界では有名な話ですが、島崎さんは原稿を掲載前にご本人には見せないそうですね?
島崎 はい、三人称で書く場合は見せません。
上野 見せなかったことで、トラブルが発生したことはありますか?
島崎 一度もないです。
上野 実は、あるんです。私との間にトラブルがありました(笑)。私がベンツに乗っていると書いてあったの。私が乗っているのはベンツじゃなくてBMWBMWとベンツはたいして違わないとあなたは思っているでしょうけど、大違い。クルマ好きにはこだわりがありますから、私はベンツなんて死んでも乗りません。ベンツに乗っているのは姜尚中さん*1です。神は細部に宿るのだから、たかがそのくらいのことで信頼関係を損ねるようなことは、してほしくなかった。
島崎 そうですね。周辺取材でベンツに乗ってはると聞いたんですが、上野さんに「ベンツに乗ってらっしゃるんですよね?」って聞くべきでした。私はそこを怠った。原稿を見せなかったことがミスではなくて、確かめなかったことがミスでした。(p.43)

51歳か

『毎日』の記事;


訃報:山口美江さん51歳=タレント 元祖バイリンギャル


 「元祖バイリンギャル」タレントの山口美江(やまぐち・みえ)さんが亡くなったことが、9日分かった。51歳。所属事務所によると、体調不良により2月から通院治療を続けていたが、病状が急変したという。

 得意の英語を生かし、テレビ朝日の「CNNヘッドライン」キャスターとしてデビュー。漬物のCMで「しばづけ食べたい」のセリフが有名となり、情報番組やドラマなどでも活躍した。最近は父親の介護を通じて学んだ経験を基に、講演活動などを行っていた。

毎日新聞 2012年3月9日 12時07分(最終更新 3月9日 12時34分)
http://mainichi.jp/select/person/news/20120309k0000e040180000c.html

51歳というのがショックだ。俺とほぼ同世代ではないか。
ところで、以前所謂〈オヤジ・ギャグ〉を擁護したこともあったが*1、やはり「バイリンギャル」というセンスはアレである。