日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

上野の森美術館『ネオテニー・ジャパン 高橋コレクション』

土曜日、6時起床。大雨。掃除したり朝飯食ったりしている間には雨も止んで、昼前に出かける。京浜東北線秋葉原まで出て、裏道のジャンク屋など覗きつつ、モスバーガーで昼飯、広小路方面へ。混雑するうさぎやでどら焼きを買い、西郷どんにご挨拶して、上野の森美術館
日本の現代アートのコレクター、精神科医高橋龍太郎氏のコレクションによる展覧会。鹿児島と札幌からの巡回展なのですね、巡回は上野で終りなので、ここで見逃せないのです。自分は数年前から現代美術系のギャラリーをちょくちょく廻っているのだけれど、そうやって訪れたギャラリーで出会う、注目の日本人アーティスト達の作品が、これでもかこれでもかと続く展覧会。それも、評価が定着してからちょっとお金にあかせて買ってみましたー、という作品ではなく、その作家にとっての重要な作品を、ちゃんと目利きして早い段階で手に入れているんだなー、というのがよくわかる作品群。高橋龍太郎のコレクションは凄いのだろうと頭では思っていたのだけれど、これほどのもとのは思っていなかった。想像の数倍のすごさ。
もちろん、現代アートそのものの好き嫌いはあるだろうし、非常に標本箱的展覧会なので一人の作家の作品を思う存分見たい!みたいに期待していると肩透かしかもしれないけど…。高橋さんのコレクションって1000点以上あるそうで、注目すべき作家ごとにピックアップしたらこのあたりが限界です!な展示量なんだと思う。上野ではルーブル展が80分待ちになっていたけれど、よっぽどルーブルに思い入れがあるんじゃなければ、こっちはまだまだ空いてますよ。ぜひこっちに。
まず鴻池朋子の大作からはじまって、名和晃平から奈良美智どーんと4点、小沢剛のなすび画廊にベジタブル・ウェポン、会田誠の紐育空爆之図に大山椒魚どどーんと、そして山口晃村上隆の初期作品各種、天明屋尚、須田悦比弘、そして町田久美、池田学…まだ半分も見ずにこれですからね…一杯見すぎて印象がわかわからなくなるぐらい、次から次へとよくもまあ、という感じ。日本の現代アートシーンのおいしいところをつまみ食い。2階に上がっても、加藤美佳やできやよい…いちいち名前あげてくのもアレなくらいな感じで、とにかく、あの人の作品ある?もちろんあるよ!みたいな。
個々の作品については、おお、あの展覧会で見たよ、あのギャラリーで見たよ、あの○○で見たよ、って作品が多いので、ちょっとどの作品が印象に残った、みたいな感想が言いにくい。これはあまり現代アートに触れる機会のない人に聞いてみたいところですね…。
私の好きなさわひらきの映像作品もありました。不思議で長寛な独特の雰囲気が好きです。三宅信太郎の子供の悪戯みたいな作品も良いです。高嶺格て不思議な作家ですね。割合、この展覧会に並んでいる作家って、スタイルがはっきりしている…というか、作品を見るとああ、あの人のね、ってわかりやすい人が多いのだけれど。高嶺格の作品は、見るたびに印象が異なる。
展示されている作品は、村上隆の作品のうちの1点、1989年の作品が一番古く、あとはそれ以降、21世紀に入ってからの作品7割方。作家でも、1959年産まれの奈良美智が一番年上でしょうか。最近の日本の現代アートってどんなもんだろー、って方はぜひに。
公式サイトはこちら
現代アートのルーツを探せ
Takさんの、会場の写真がたくさんある紹介記事はこちら
「ネオテニー・ジャパン」 | 弐代目・青い日記帳
今回の展覧会に草間彌生は出ていないのだけれど、それは、やはり高橋さんのギャラリーで…。新装オープンした日比谷のギャラリーで見てください。こっちもすごい
「草間彌生 展」 高橋コレクション日比谷 - はろるど

東京藝術大学美術館 陳列館『資生堂・サントリーの商品デザイン展』

上野公園を歩いて、韓国系の教会の炊き出しを左目に、今日は60分待ちの国立博物館の阿修羅展を右目に、東京藝術大学へ。陳列館では、資生堂サントリーの商品デザイン展。これ、『第三回 企業のデザイン展』と銘打ってあって、おおそうだ、以前に、JRのデザイン展を見に来たことがありました。
陳列館『鉄道のデザイン』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
今日の展覧会、空いているもんだとばっかり思っていたのだけれど。入場するために長い行列ができている。で、入ってみて納得。壁一面に資生堂サントリーの商品が、びっちりと時系列に沿って並べられている。それをじっくり眺めていったら、それは行列にもなりますわな…。入る時間はまだ短い行列だったけれど、出るころには、陳列館に入るまでに1時間はかかるのではないか、という大行列になっていた。
さて展示。資生堂の化粧水オイデルミン、サントリー赤玉ポートワインに始まって、時系列にびっしりと展示される商品たち。化粧品や酒(特にウイスキー)という、おそらく初期においては舶来品信仰が現在とは比べ物にならないくらい高かったろうものにおいて、国産品の価値を高めていこうとした二つのメーカーの商品ですからね。おのずと、デザインにも力が入ろうというもの。特に初期においては、資生堂の商品デザインに対する拘りが強く感じられる。
戦前の上質イメージへのこだわり、戦後すぐの派手好み、高度成長後の日本回帰、その後の透明感の表現とか、時代ごとに移り変わるイメージの違いも感じられて面白い。結構、これは黒歴史だよねえ、みたいな商品もちゃんと並べられているしね。企業広報的なスペースだと、こういうのはなかったことにされるかも。
で、ねえ。初期は圧倒的に資生堂のイメージが強いんだけど、21世紀を目前にしたあたりから、サントリーのパッケージばっかりならんでいるのだな。なんだろう、このころから、資生堂はデザインにあんまり力を入れなくなっちゃったのかしらん?イマイチ、ボヤけたイメージのデザインが多かったり…
2階はテーマごとに、商品デザインの変遷を紹介。いつも変らぬもの、時代の要請にあわせてガラリと変わるもの、そして回帰するもの。おなじみの商品の海外展開用デザインもあったり、ああこれあったよね!と懐かしく眺められたり、大変面白い展覧会でありました。ただし、6月1日で終わっちゃうんだよね…
詳しい紹介は、こちらの方の紹介も見てみてください
資生堂・サントリーの商品デザイン展 : 藤崎圭一郎の雑思録
公式サイト
第3回企業のデザイン展「資生堂・サントリーの商品デザイン展」
その後、芸大のアートプラザも。いいちこのフラスコボトルを買うとポスタープレゼント!は相変わらずやってるみたいだった。いいちこのかっこいいポスターがほしければ、ここに来るのが早いようですね。

渋谷、そして夜の伊勢佐木町

根津まで歩いて、千代田線。表参道で乗り換えて渋谷。神戸屋で一休みしてから、東急東横の地下。獺祭の旭酒造が試飲販売をしており、いろいろ試飲させてもらう。東急東横で一番売上が多い日本酒が、獺祭であるらしい。なるほど、普段から品ぞろえが良いようだ。今日は折角ですから普段は並べてないものを持ってきました、ということだったので、その純米大吟醸の遠心分離おりがらみを購入。
渋谷から東横線に乗ったら、綱島で人身事故ですと。仕方がないので武蔵小杉で南武線乗り換え、川崎経由で桜木町。いったん帰宅して酒を置いて。
夕飯は伊勢佐木町の華隆餐館へ。牛モツうまいです。牛肉刀削麺うまいです。うまいです。おなかの中身を少し落ちつけてから、伊勢佐木町の奥のほうへ。歩いている男2人『あの紙が固くて…』『カンベツの紙より固い…』『チリシ?』『チリシw』なんて会話をしている。伊勢佐木町の4丁目、セブンイレブンがあるあたりの裏路地、ちょっと覗いてみると異様な感じ。街灯が青い色で、奥のほうでは緑になっており、一面青と緑に照らされた暗いくらい路地は不思議な雰囲気を醸しており、これはなんなのだろう。その色のとおり、青線、ということなのだろうか。
久しぶりに、温泉のある銭湯、利世館へ。別の意味でのお風呂がたくさんある地域なので。刺青お断りとか、脱衣所禁煙とか、そんなこまけえことはいいんだよ!って銭湯。行けばかならず、立派なお絵かきの人を複数人見ることができますし、女湯からはかならず外国語の談笑が聞こえてきます。素敵な銭湯です。なにやら虚空に向かってじっと無念無想している人がおり、イメージトレーニング?なんの?
ぐったりするほど黒いお湯に身を浸してからあがり、ぶらりぶらりと、呼び込みに声をかけられながら帰宅。録画しておいた、アド街の横浜ベイエリアの回を見るが、いやあ、これはひどい

遅ればせながら、Meets Regional の発酵特集読んだ

発酵特集というか、もやしもん特集というか…表紙一面もやしもんの菌たちなのね

Meets Regionalが発酵特集、表紙いっぱい「もやしもん」 - コミックナタリー
株式会社 京阪神エルマガジン社|Meets Regional 2009年6月号 発酵クウノム。
で、表紙がかわいいのだけれど、ナカミも、相変わらずエルマガはいい仕事しおって…という感じの日本酒と発酵食品特集でした。日本酒好きと発酵食品好きは手に入れておくべき。口噛み酒を実際に作って飲んだりしてる…
まあ、紹介されているお店が関西の店なので、東京の人が読んでもちょっと悔しい思いもしちゃうかもだけれど。
私が大阪に行くとできる限り寄る店、『遊亀 淀屋橋』も紹介されていました。もちろん、鮒寿司を出す店、ということで!
http://liquor.g.hatena.ne.jp/zaikabou/20070417/1176808560
今日のふらふら出張日記 - 日毎に敵と懶惰に戦う
この店の鮒寿司は、Meetsによれば

蔵元お抱えの米農家自家製の一品は、臭み取りの塩漬けも普通は約半年のところ、約2年程と徹底。泥臭さって何のこと?な、まさに「チーズ的」味覚に、まさかの鮒寿司バク食いも実現

ということで、なるほど、確かにおいしいです、ここの鮒寿司。私はそのままも好きだし、お茶漬けにするのも大好き。いやほんと、この店は何でも美味いし、滋賀の蔵元がやってる店だから日本酒も安いし、おススメなのですよ。混んじゃうと入れなくなるから、あんまり紹介したくないんだけど…
http://www.yodoyabashiwest.com/members/yuki/yuki.html
それにしても、関西エルマガジンは、首都圏でも良い仕事たくさんしすぎですね…にくいくやしい
横浜で美味いものが食いたいみなさんへ! - 日毎に敵と懶惰に戦う
エルマガジンの『アートを楽しむ東京地図本』が良く出来ている - 日毎に敵と懶惰に戦う