訓読 >>> 梅の花咲きて散りぬと人は言へど我(わ)が標(しめ)結(ゆ)ひし枝(えだ)ならめやも 要旨 >>> 梅の花が咲いて散ったと人は言うけれど、まさか我がものとしてしるしをつけた枝のことではあるまいな。 鑑賞 >>> 大伴宿祢駿河麻呂(おほとものすくねするがまろ)の「梅の歌」。大伴駿河麻呂は、壬申の乱の功臣である大伴御行の孫ともいわれ(父は不詳)、天平15年(743年)に従五位下、同18年に越前守、天平勝宝9年(757年)の橘奈良麻呂の変に加わったとして、死は免れるものの処罰を受け長く不遇を託ち、のち出雲守、宝亀3年に陸奥按察使(むつあぜち)、陸奥守・鎮守将軍として蝦夷(えみし)を攻略、…