教室 いくつもの声がいくつもの足音が陽光と雨粒と一緒に駆け抜けていく 友の声先生の声鳥の声椅子を引く音鉛筆を走らせる音消しゴムをこする音教科書をめくる音チャイムの音ふと顔を上げた時たくさんの音がここに流れ込んでくる もう二度とここに戻ってくることはないさようならありがとうさようなら いじめ 嘲笑と教科書を裂く音とカバンを押し潰す音と無数の「死ね」という文字と手の甲にコンパスが刺さる痛みと頬を蹴り上げられ 口の中に広がる血の味と 一度は助けを求めただろうかでも 助けてくれる人はいないと知った誰もが素知らぬ顔で通り過ぎてゆくそう ここにはわたし一人そこには無色の空があったそこには無風の景色があった…