ーーーー講義録始めーーーー 地域福祉の理論研究は1960年代に芽生え、1970年代に本格的に展開していきました。その中心に位置づけられるのが、岡村重夫による地域福祉論です。 岡村理論の基本的視点 岡村の地域福祉論は、地域社会や家族から切り離され、施設中心に提供される従来の社会福祉への批判から始まりました。当時の社会福祉援助には「劣等処遇の原則(principle of less eligibility)」があり、福祉サービス利用者の生活水準は一般の勤労者の平均的生活水準よりも低く設定されなければならないとされていました。岡村は、この原則の下では利用者が普通の近隣関係を築けず、人間的欲求が満たさ…