【書】『おくのほそ道』75(立石寺1)(No.1,933 「山形領に立石寺と云山寺あり。慈覚大師の開祖にして、殊清閑の地也。一見すべきよし、人々のすゝむるに依て、尾花沢よりとつて返し、其間七里ばかり也。日いまだ暮ず。梺の坊に宿かり置て、山上の堂にのぼる。岩に巌を重て山とし、松柏年旧、土石老て苔滑に、岩上の院々扉を閉て、物の音きこえず。岸をめぐり、岩を這て、仏閣を拝し、佳景寂寞として心すみ行のみおぼゆ。 閑さや岩にしみ入蝉の声 」 (訳:山形領に立石寺という山寺がある。慈覚大師の開かれた寺で、特別清閑の地である。ちょっと見に行ったらと人々が勧めるので、尾花沢から逆行して立石寺へ行ったが、その間七…