1984年、日本のプロレス界は大きな地殻変動に見舞われました。アントニオ猪木率いる新日本プロレス、ジャイアント馬場が築いた全日本プロレスという二大巨頭が君臨していた時代に、敢然と反旗を翻した団体がありました。その名は「UWF」。彼らが掲げたスローガンは、あまりにもシンプルかつ過激でした。それは「真剣勝負」という、当時のプロレス界の常識を根底から覆す挑戦状だったのです。 柳澤健さんのノンフィクション本『1984年のUWF』は、この伝説のプロレス団体が生まれ、燃え上がり、そしてその後の格闘技界に計り知れない影響を与えていくまでの軌跡を、克明に、そして時に冷徹な視点で描き出した傑作です。本書は単なる…