英国在住のライター、翻訳者、ブロガー。(本人の弁によれば「言語のいたこ」*1) 映画情報サイトMovieWalkerに寄稿記事が掲載されている。(MovieWalker"ブレイディみかこ"記事一覧) 英国での生活を綴ったブログ「THE BRADY BLOG」が、碧天舎から「花の命はノー・フューチャー」として出版される。(ただしその後碧天舎の倒産により絶版)
花の命はノー・フューチャー
1996年より英国在住。現在はBRIGHTON, EAST SUSSEXの「丘の上」で生活しているとのこと。
*1:出典:http://www.geocities.jp/mikako0607jp/6th.html
不定期読書感想文です。 以前 読書日記 2024年3月20-26日 で書いていたように、 ・シャイデル・ウォルター(鬼澤忍、塩原通緒訳)『暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病』 ・マイケル・サンデル(鬼澤忍訳)『実力も運のうち 能力主義は正義か?』 ・カール・ローズ(庭田よう子、中野剛志訳)『WOKE CAPITALISM 「意識高い系」資本主義が民主主義を滅ぼす』 ・広瀬隆『日本近現代史入門 黒い人脈と金脈』 ・ブレイディみかこ『僕はイエローで、ホワイトで、ちょっとブルー2』 など読んで考えたことをつらつら書く。 ただの感想文で、特に結論とかはありません。
『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』を読みました。 私労働小説なんて、訳がわかんないですよね。 著者がブレイディみかこさんだから手に取ってみました。 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の作者ですから。 それに、ラジオなどでもお話をよく聴いていて、 イギリスでどんな生活をしているのかな?って、 前々から興味があったのでおもしろく読めました。 この本は「ノンフィクションではないし、自伝でもない」と、 みかこさん自身が「あとがき」でことわりを入れています。 でもね、ご自身の体験がベースにあるのは確かでしょう。 イギリスでこういう体験をして生きてきたんですね。 階級がある社会っていうのがどう…
このブログ、最近書評が多いな、と思っている読者もいると思う。まさにその通りで、理由は、建玉が膠着しており、動きがとりにくい。それに、GWの後半からずっと仕事で、今月に入って休んだのは1日と6日だけ。深夜に帰宅した後にチャート画面を開いても、派手に動く時間は過ぎており、チャンスはほぼない。結局、本を読むくらいしかやることは無くなってしまうのだ。 本作の著者ブレイディみかこは、名前は聞いたことがある、くらいで著作を読むのはこれが初めて。小説、という形態をとっているが、著者の経験が結構投影されているように感じる。「ノンフィクションではないし、自伝でもない」と書いてはいる(P252)が、いたる所に著者…
どこの本屋さんにも置いてあるであろう、超ベストセラー。 いつかいつかと思いつつ、読めていませんでした。 ポッドキャスト番組「独立後のリアル」の相方がおすすめしていたのをきっかけに、今更ながらに読みました。 読んでよかった。 感じることも多く、正直、読書録に何をどう残しておけば良いかまとまらないでいます。 「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(ブレイディみかこ 著、2021年7月初版、新潮文庫、単行本は2019年6月刊行) 内容は、副題の「The Real British Secondary School Days」が表しているとおり。 著者みかこさんの息子さんが通う"元底辺中学校”の…
他人の靴を履く タイトル聞いただけで、お尻がムズムズして、居心地の悪さを感じるよね。 一言で中身が、想像できるけど、 その具体的な中身って、目から鱗のみかこさんの本 面白いよね。 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー から、コラムなどいつも表現力にため息する 他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ 作者:ブレイディ みかこ 文藝春秋 Amazon 女たちのポリティクス 台頭する世界の女性政治家たち (幻冬舎新書) 作者:ブレイディ みかこ 幻冬舎 Amazon ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー(新潮文庫) 作者:ブレイディみかこ 新潮社 Amazon ぼくはイエローで…
『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』 ブレイディみかこ 文藝春秋 シンパシーとエンパシー みなさんは「共感」という日本語、どのように使われますか。 「今の日本の政治家の話し方にはまったく共感できない」 「この監督の一つ前の作品には共感できなかったけど、今回のには共感できた」 「この投稿に共感していいねボタンを押してしまった」 とりあえず3つ、私なりに適当に「共感」を用いて文章を作ってみましたが、これらの「共感」は英訳すると、おそらく"sympathy"になります。ところが他方、英語ではもう一つ「共感」と訳される単語があります。"empathy"です。 英語圏でもこの"empat…
谷川俊太郎とブレイディみかこの1年半に渡る往復書簡。 『図書』連載「言葉のほとり」(2022年3月~2023年8月号)に、奥村門土(モンドくん)の挿画を加えて、昨年11月に書籍化されたもの。 字も大きく150ページほどであり、内容的にもとても引き込まれたので一気に読了。 気軽に読めるわりに内容は深く、心に響く言葉や共感出来る事がら多々だった。 社会的なことや、老いや介護などの身近な問題にも触れていて。 年齢も、育った環境も全く違う二人。ブレイディさんの散文に対して、谷川さんは詩を中心に返信。谷川さんの味わい深い詩の世界も十分堪能できた。 イギリスに住んでもう四半世紀になるという、ブレイディみか…
続きです。 ◯エンパシーとシンパシー# この小説のなかで、『東京同情塔』である刑務所は、シンパシータワー、 ですから、犯罪者は、同情すべき人々ということです。 寛容な社会の行き着くところです。 そのネーミングから、高輪ゲートウェイ駅、 内容では、上野千鶴子さんの東大での新入生歓迎の辞など、 巷の出来事が、いくつもクロスオーバーしました。 同じ時代、同じところで、ほぼ同じ目線で生きている、作者への、エンパシーです。 エンパシーは、共感で、同情しないけれども、理解はできるという態度です。 ブレイディみかこさんの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」です。 シンパシーとは、かわいそうな人に、…
詩人とライターの往復書簡を読みました。 詩人とは言わずと知れた詩の大家・谷川俊太郎さんで、 ライターとは「地べたのライター」と自ら名乗るブレイディみかこさんです。 『その世とこの世』というタイトルの本です。 ワタシにとってはお2人とも興味関心を引かれる方ですので、 どんな化学反応が楽しめるのかと、ワクワク気分でページをめくりました。 面識のないお2人の手紙のやりとりですが、 これは、『図書』編集部の発案だとか。 このお2人を結びつけるとは、かなりの策士ですな。 そして、見え隠れするのが、作家の高橋源一郎さんの存在です。 NHKラジオの番組『飛ぶ教室』のパーソナリティですが、 いきなり、この番組…
白内障の手術をした。数日休んで学校へ行くと廊下の掲示板が変わっていたので驚いた。それは1年生から6年生までの行事の様子を並べた写真。「きれいな写真だなあ! よく撮れているじゃないか…」もう一度よく見ると、前と同じ写真だ…。 映画「パーフェクトデイズ」に関する話題がラジオから聞こえてきた。「あの写真現像屋の店主は柴田元幸さんです」えー!知らなかった! 聞いていたらもっと気を付けて見たのに。もう一度観に行こうと思っていたのでこれで決心がついた。 翻訳家の柴田元幸さんの編集による雑誌「MONKEY」第32号が発売された。伊藤比呂美、ジョン・アーヴィング、フィリップ・K・ディック、坂口恭平、古川日出男…
5月の長期連休は特に旅行の予定もなく、時間と子供のエネルギーを持て余し、結果的に普段の生活よりも疲れた… 子供を産む前には、連休明けの会社が待ち遠しくなるなんて想像もしてなかった笑 そんな中だけど、読みごたえのある本を何冊も読み切ることができた。 特に、この後最初に紹介する『人を動かすナラティブ』という本がとてもよかった。 人を動かすナラティブ なぜ、あの「語り」に惑わされるのか 両手にトカレフ ほんとうに頭がよくなる世界最高の子ども英語 人と組織を巧みに動かす深くてさりげない「21の技術」ディープ・スキル 「気がきく人」と「気がきかない人」の習慣 琥珀の夏 ホロヴィッツホラー 人を動かすナラ…
2024年6月1日(土) 6月1日は晴れの特異日のひとつらしい。暑い一日だった。 仕事は休みのはずだけど、午前中は自宅で持ち帰り仕事。昼食は長女と約束の焼肉ランチ。学校の話など、色々とゆっくり話を聞くことができて楽しい時間だった。 長男はイベントのため、学校に遅めに登校していった。ランチのあと、長女とイベントへ。色々見るつもりが、合流したオット氏と長女が疲れたというので、長男のエリアだけ見て、喫茶コーナーで休んで二人は離脱。わたしは単身でしばらくゆっくり見学をしてから、退散。 夕食はお惣菜盛り合わせで、手抜きかつ豪華?にさせてもらった。 * 朝に、長男のお弁当のためにおにぎりを作りながらつけた…
フランス文学者でありALL REVIEWS主宰の鹿島茂さんの対談書評本『多様性の時代を生きるための哲学』を読みました。対談でどんどん話が展開していって、新しいキーワードを見つけたり、読みたい本を知ってしまったり、そういうのがとても楽しい本でした。 作った読書メモのなかから、学校や教育に関わりそうなところを共有したいと思います。多様性の時代を生きるための哲学 (単行本)作者:鹿島 茂,東 浩紀,ブレイディみかこ,千葉 雅也,ドミニク・チェン,宇野 重規,石井 洋二郎祥伝社Amazon 第1章 東浩紀×鹿島茂 「考える」ためには何が重要か 批評家の東浩紀さんとの対談です。ちょっと長いですが、インタ…
私がこれまで読んだ、ノンフィクション本の一覧です。 ブログで感想の記事を書いた作品については、作品名からその記事に飛べる仕様となっています。 目次 飯間浩明 稲泉連 今西乃子 奥野淳也 大社充 小貫信昭 レイチェル・カーソン 川口淳一郎 近藤雄生 二宮博志 ビル・ブライアン ブレイディみかこ 森田恭子 飯間浩明 『三省堂国語辞典のひみつ 辞書を編む現場から』(新潮文庫) 稲泉連 『宇宙から帰ってきた日本人 日本人宇宙飛行士全12人の証言』(文藝春秋) 今西乃子 『犬たちをおくる日 この命、灰になるために生まれてきたんじゃない』(金の星社) 奥野淳也 『マスク狂想曲 2020-2022 日本 魔…
5月は割と忙しくて、ようやく通常モード 本、読まなくちゃと積んでたけど、 すみません、これは投げ出しました バレエ…面白そうと思ったんだけど、いかんせん疎い世界 spring (単行本 --) 作者:恩田 陸 筑摩書房 Amazon で、すごいすごい天才妖精みたいな主人公・・・うーん そのうち面白くなる筈きっと…と思ってたんやけど、あまりに進まないのでちらっとレビューを読んだら後半また別の天才妖精が出てくるとのことだったので…ごめんなさい返却します。 ほんとのバレエ公演は一度見てみたいなぁ。 これは読みました。 ベスト・エッセイ2023 作者:角田光代,林真理子,藤沢周,堀江敏幸,町田康,三浦…
新潮社の夏の文庫フェアの小冊子「新潮文庫の100冊 2023」で紹介されていた本の一覧。 冊子表紙にはイルカの背に乗るキュンタと「想像力の旅に出よう。」の言葉。
今日は、九段下、神保町、新宿、立川と動き回った。 まず、九段下の寺島文庫で寺島さんと面談:近況報告。アクティブ・シニア革命。インテリジェンスユニット。シェア本棚。食事会。知人の消息、、、、。林遼太郎さんとも会話。 神保町のシェア書店「ほんまる」で自分の棚を確認。 岩波のカフェで執筆途中の本の原稿。 本日発刊の寺島実郎『21世紀未来圏 日本再生の構想』を購入。 「BOOK HOUSE」で昼食。絵本の語りの会に紛れ込んでしまった。 新宿:「ビックカメラ」「紀伊国屋書店」 立川のカフェで執筆途中の本原稿チェック。 オステオパシーで体を整える。 20時:自宅からリモートの「知研読書会」。半分は新メンバ…
ブレイディみかこさんの『両手にトカレフ』を読んだ。 ブレイディみかこさんといえば、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で有名。 私も読んだが、読みやすくて情景が目に浮かぶような文章で、考えさせられるテーマも含み、そして文章を作りにあたりしっかりリサーチもされていて、とても好きな作家さんの一人。 そんなブレイディみかこさんの初の長編小説ということで、早速本書も読んでみました。 あらすじ 金子文子 ブレイディみかこさんのおすすめ著書 あらすじ 私たちの世界は、ここから始まる。 寒い冬の朝、14歳のミアは、短くなった制服のスカートを穿き、図書館の前に立っていた。 そこで出合ったのは、カネコ…
ブレイディみかこ/著 KADOKAWA 私小説風な仕事小説。日本と英国での決してキラキラしてない。日本人だけど、英国で労働者階級に属した存在で書かれる内容にリアルさがある。
GWの2日目は朝から真夏みたいだった。父親の家に向かう息子を見送り、私は恋人の家へ。 今日は良い天気だね、と話しているうちに彼から「せっかくだから、奥多摩のコテージに泊まってBBQとか川遊びはどう?」と提案され「え、今から?」としり込みしてしまった。これまでろくにキャンプなどをしたことがなく、心の準備もないまま思い立って出かけられるほどアウトドア慣れしていない私。海外出張にもリュック一つの当日準備で出かけられる彼のフットワークの軽さが羨ましい。コテージは空いていたけれど、今から出ても着くのは夕方だし、ということで、以前から興味があった「ベランピング」に挑戦してみることにした。 恋人の部屋から眺…
読み始めるまで、小説だと思い込んでいました。ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』。 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー(新潮文庫) 作者:ブレイディみかこ 新潮社 Amazon 実際には、息子さんの中学校生活について書いたノンフィクション。このタイトルは、息子さんの言葉だそうです。やっぱり、中学生は感受性豊かというか、受け止め方が純粋ですよね。もちろん皆が皆そうではないと思いますが。。 イギリス社会について描かれていて、異文化に触れる感じが、ちょっとテーマは違うんですが、私的には『くもをさがす』を思い出しました。 sky29wind.hatenablog…
本の感想「何とかならない時代の幸福論」ブレイディみかこ・鴻上尚史(朝日新聞出版) NHKの「SWITCHインタビュー達人たち」の対談をまとめたもので、さらにこの書籍のために新たな対談を加えて構成したもの。日英の教育の違いがそれぞれの社会のあり様をどう規定しているかを考察している。鴻上氏によるポイントになる言葉は「ランドセルとリクルートスーツが当然と思われている限り日本は変わらないとおもいます。」であり、ブレイディ氏によるポイントになる言葉は「英国は格差はあるんですけど、正直に見せてますよね。日本はないようでいて、ありますよ。でもそれを、ないように見せようとする。」ということ。鴻上氏は高校生の頃…