ここは知らない街。 気づけば ボクは大人になっていた。 だけど… 何か、大切なものを置き去りにしてきた気がする。 仕事、期待、責任。 あふれる情報。 押し寄せる波のように 飲み込まれそうになる毎日。 「ボクは何のために ここにいるんだろう?」 誰にも聞こえない声で そっとつぶやいた。 あの頃、 ぼくはただ走っているだけで ワクワクしていた。 空を見上げるだけで どこまでも行ける気がしたのに。 気づけば “夢” は 見上げるだけの存在になっていた。 手を伸ばす勇気さえ どこかに置き忘れてしまったのかも。 「まだ終わりじゃないよ」 そう聞こえた気がした。 ほんの少しだけど、 ボクは顔を上げてみる。…