ある日、Audible(朗読をしてくれるサービス)で偶然見かけた1冊の小説。安野貴博さんの小説『松岡まどか、起業します ―AIスタートアップ戦記―』。 表紙はやわらかいアニメ風の女の子で、タイトルもどこか軽い印象。正直、私はあまり期待していなかった。でも、なんとなく試しに聴いてみた。 タイトルや表紙から想像していたものとはまったく違うものが、そこにはあった。気づけば、私はその世界に深く入り込んでいた。 最初の数章から感じたのは、圧倒的な“リアルさ”だった。スタートアップの現場。資金調達。プロダクトの仮説検証。そうした「会社をつくる」ための過程も興味深かったけれど、私が特に惹きつけられたのは、も…