仏は真に尊くして物によらず。昔の徳勝童子は、沙の餅を仏に供養し奉って阿育大王と生まれて、一閻浮提の主たりき。貧女の我がかしらをおろして油と成せしが、須弥山を吹きぬきし風もこの火をけさず。(王日殿御返事) 今回は、『徳勝童子の土の餅』と『貧女の一灯』のふたつの説話をお話します。まず『徳勝童子』ですが、この話は阿育大王が過去世に徳勝童子だった時の話です。ある日、王舎城の街に釈尊が托鉢にやってくると、その姿に触れて目や耳が不自由だった人々の視力や聴力が戻るなど様々な不思議な事が起こります。その街の大通りで、土で家を作って遊んでいた徳勝と無勝という二人の少年がいました。二人の少年は威厳ある釈尊の姿に心…