シゲ子が夕食時にたおれたと連絡がはいったとき、真っさきに駆けつけたのは小学校3年生になったばかりのほのかだった。床のなかで苦しげな表情を見せるシゲ子に近づいたとき、弱々しい声で「ほのかちゃん…」と呼びかけられたが、思いもかけぬ反応をみせてその場に立ちすくんだ。「だれ、だれ…」 小声で問いかけるほのかで、布団のなかの土色のはだをした老婆は、ほのかの知る祖母ではなかった。いつも身ぎれいにしているシゲ子とは、まるで似てもにつかぬ老婆だった。いや、醜悪な物体に見えてしまった。 「シゲ子、シゲ子。ほのかが来てくれたぞ。良かったな、これでもう元気になれるぞ」 孝道がシゲ子の耳元でささやく。かすかに口元に笑…