少し胡散臭い話かもしれません。でもこれは、私の記憶に確かに残っている出来事です。 私の母方の祖母は、「おばあちゃん」というより、どこか別世界の人のような存在でした。白い着物に袴という、まるで神社の神主のような装い。いつもそんな格好をして、訪ねてくる見知らぬ人たちを、離れの一室に通していました。夏休みに遊びに行くと、必ずその光景を目にしました。 母の実家は交通が不便な田舎で、当時は”いちご農家”でした。今思えば、祖母の存在はその暮らしぶりと、どこか不似合いだったように思います。 その部屋には、伊勢神宮の神様を祀った神棚があり、奉納されたたくさんの千羽鶴が印象的でした。子どもながらに、なんとなく騒…