作家。本名は斎藤宗吉。
1927年5月1日、歌人 斎藤茂吉の次男として東京に生まれる。
麻布中学校、旧制松本高等学校を経て、東北大学医学部を卒業。その後、慶應義塾の大学病院で精神科医として勤務するかたわら執筆を始める。文芸首都同人として佐藤愛子、なだいなだなどと交友を持つ。
処女作「幽霊」ほかいくつかの作品を発表し、新進作家と世間に認知された頃、マグロ漁業を調査する船の船医として航海に出る。この時の体験を綴った『どくとるマンボウ航海記』がベストセラーとなる。1960年、「夜と霧の隅で」で芥川賞を受賞。
『楡家の人びと』『白きたおやかな峰』『酔いどれ船』『輝ける碧き空の下で』などシリアスな作品と、『どくとるマンボウ航海記』に代表されるユーモアエッセイを書き分ける作家として、世代を超えた人気を博した。また、大の阪神タイガースファンとしても知られる。
躁うつ病をわずらっていたことで有名だが、彼自身の語るところによれば、日本で躁うつ病が世間に聞こえが悪い病気ではなくなったのは、有名作家である北自身が躁うつ病にかかったことをしばしば口にするため、抵抗感がなくなったからとのこと。
2011年10月24日、84歳で死去。
兄は医師でエッセイストの斎藤茂太。娘はエッセイストの斎藤由香。