それで小島和男『反出生主義入門』(青土社, 2024)を読んだのだが、別に生まれてきたことに絶望している訳でもないし、早く死にたい訳でもない。しかしながら本というものはたとえそれがどんなにニッチな分野の本でさえ、その本を出版することによって利益というものを生み出さなければならない。したがってある程度は「売れて」くれなければ出版社としては困るのであって*1、そういう商業主義の犠牲になってしまった感はある。 「生まれてこないほうが良かった」のではなくて「この世の中において苦痛を持ちうる可能性のあるものが存在することは等しく悪である」ということから「そういうものを産み出す=子どもを作ることは非倫理的…