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受動喫煙

(一般)
じゅどうきつえん

非喫煙者が喫煙者の吐き出す煙(主流煙)や、たばこから直接でる煙(副流煙)を吸い込むこと。間接喫煙。副流煙には主流煙に比べて数倍の有害物質が含まれるとされる。

数多くの研究を評価することで、学界では1980年代に既に受動喫煙の有害性は明らかになり、呼吸器・肺癌・循環器などの医学系諸学会は受動喫煙防止を社会に訴えてきた。

しかし売上げが落ちることを危惧するたばこ産業は、受動喫煙の害を隠蔽するさまざまな宣伝活動を行ってきたことが、米国のたばこ会社に対する詐欺事件訴訟で次々に明らかにされた。たとえばたばこ産業の資金提供により、受動喫煙の害が大したものでないと結論する、いわゆるエンストローム論文*1が専門家の査読を受けない雑誌に2003年に発表された。この研究は発表当初から『致命的な瑕疵』を指摘されるなど学界からの評価は低く、受動喫煙に関する総説にすら取り上げられていない。連邦裁判所は、エンストローム論文は大衆を欺く目的でたばこ会社が科学に操作を加えた証拠である、としている。

このように受動喫煙がもたらす健康障害に関しては、タバコ産業から資金提供を受けた一部の科学者等から「科学的根拠が希薄である」との主張が行われていたが、世界保健機構(WHO)が2004年に、英国タバコか健康かに関する科学委員会が2004年に、米国カリフォルニア州環境局が2005年に、米国公衆衛生局長が2006年に発表した詳細な報告書において、受動喫煙が健康障害を引き起こすことが科学的根拠を持って示されており、日本学術会議等も論争に終止符が打たれたと評価している。
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-t51-4.pdf

健康増進法では、多数の人員が集う施設では、施設管理者が受動喫煙対策を行うことを努めるよううたわれている。しかしたばこ産業の宣伝等によって、受動喫煙の有害性は必ずしも広く認識されているわけではない。

受動喫煙に関しては、神奈川県が「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)」として全国初の制定を目指している。*2

*1:Enstrom, J. E. & Kabat, G. C. "Environmental tobacco smoke and tobacco-related mortality in a prospective study of Californians, 1960-98. British Medical Journal 326, 1057-1061 (2003)."http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/326/7398/1057

*2:http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/kenkou/gan/pubcom/tobacco_kosshi.html

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