第56,57節。 しかし、もし言語にそうした見本がまったく存在せず、例えば、ある語が表す色を我々が憶えておくとしたらどうか? ──「だが、もし我々がその色を憶えておくのだとしたら、つまりそれは、語を発する際にその色が我々の心の目の前に現れるということだ。それゆえその色を思い出すのが常に可能なのであれば、その色はそれ自身では破壊不可能なはずだ。」 見本というのは前節の「範型(パラダイム)」のことだ。Wはそれが必須だと考えているが、ここではそれ以外のものが言語を支えている可能性を検討している。ひとつの考えは記憶など「心の中の像」である。心像はたしかに破壊不可能に思えるので、前節の言語観との親和性が…