遍昭集 3 二月ばかり、道をまかるとて 折りつればたぶさに けがる立てながら 三世の仏に 花たてまつる 直訳 2月頃、道を下る 折ってしまうと手首に汚れがつくので、地上に立って生えているまま前世・現世・来世の三世の仏に花をさしあげる。 僧正遍昭(狩野探幽『三十六歌仙額』) 意訳 題詞:2月ごろに、(前年の3月に)俗世間から退いたことについて語る まるで、枝がポッキリと折れるように前年の3月に仁明天皇が亡くなられた。 その折に、私の気持ちも折れてしまい、髪の毛を切り取って出家した。 俗世間から離れて、疎遠になり、世間とのつながりを断ち切った私です。 亡くなって仏となられた仁明天皇。 生前の仁明天…