殺人事件の犯人を追う神奈川県警本部捜査一課刑事・秦圭介警部補の頭に浮かんだ植物が食中植物のウツボカズラだった。 「細長く伸びた葉の先端に、壺のような形状の袋がついている。・・・・・甘い蜜で虫をおびき寄せ、中に落ちた虫を食いながら生きる」(p428)という植物である。 本書のタイトルはここに由来するようだ。そして、それは犯人の行為を的確にシンボライズしていることにもなっている。 完全犯罪は続かない。なぜなら人間は人間社会で生活しているかぎり、その痕跡を完全には消すことができないから。この小説はウツボカズラのイメージとこのテーゼをモチーフにした作品だと感じた。ここまではうまく繰り返せないのではない…